貫き通す信念

ステラ・ドネリー『スラッシュ・メタル CD』
発売中
EP
ステラ・ドネリー スラッシュ・メタル CD

2019年のフジロックでは、レッドマーキーを最高の笑顔で照らしてくれたステラ・ドネリー。単に可愛いだけじゃなく、鋭い辛辣さを持つ歌詞も日本人リスナーの感性に訴えるところが大きかったようで、12月の単独再来日は追加公演も含め完全ソールドアウトという人気沸騰ぶりだ。それを受けて、彼女が一躍注目を浴びるきっかけとなったデビューEPが、あらためて国内独占で初CD化される。すでにステラのイメージを代表する写真として知れ渡った、ラーメンを頬張るジャケットを、ぜひこの機に手元へ置いてほしい。

2019年を代表する1枚となったデビュー・アルバム『ビウェア・オブ・ザ・ドッグス』に比べると、よりシンプルなアコースティック・ギター弾き語りに近いスタイルだが、“ボーイズ・ウィル・ビー・ボーイズ”を筆頭に、すでに強い芯が中心を通ったソングライティングは確立されている。「サウンドの幅は広げていきたいけれど、自分で聴いていて鳥肌が立つような感動を覚える音楽って、歌とギターだけとか、歌とピアノだけみたいなものが多いので、そういうところから離れすぎることはないと思うし、初心を忘れないようにしたい」と語っているだけに、そういう彼女が備えた表現の本質が、ここには捉えられていると言っていい。オーストラリアのパースで育ったステラは、もともとウェールズで生まれたこともあり、(ウェールズ語が次第に失われつつあることを意識して)言葉というものを大切に思いながら、それを歌として残していこうとする故郷の人々の考えに強く影響されているという話も思い出す。

ちなみにタイトルの『スラッシュ・メタル』は、パンとかを食べ過ぎて舌が痛くなったことを表す「THRUSH」をもじってつけたものだそうだ。(鈴木喜之)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
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ステラ・ドネリー スラッシュ・メタル CD - 『rockin'on』2020年1月号『rockin'on』2020年1月号
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