王道ポップという賢い選択

リアム・ペイン『LP1』
発売中
ALBUM
リアム・ペイン LP1

活動休止から4年近くを経て、それぞれの道を明確に描き出し、なんともうまい具合に棲み分けに成功した感があるのが、ワン・ダイレクションの面々だ。中でも一番安定した歌唱力を誇ったリアムは、17年春のソロ・デビュー当初からメインストリーム・ポップのど真ん中を邁進。R&Bを核にしたキャッチーで踊れる音という路線は定まっていたし、嗜好にも合っていたし、ファースト・アルバムがどんな音になるのか、おおよそ予想はついていた。想定外だったのは、プライベート面で起きたことだ。自分に劣らぬ国民的スターと交際を始め、息子が誕生。日々ゴシップ欄を賑わせたハッピーなカップルはしかし18年に破局し、この間レコーディングを進めていた彼は、身辺の変化に準じてアルバムを作り直したらしい。

そんなわけで本作は、仕切り直してから作った10曲を最初に並べ、既発のシングル曲があとに続くという変則的構成になったが、ビフォーとアフターにさほど明確な差があるわけはなく、とにかく現時点でのゴールは、コラボ三昧で音楽作りを楽しむことにあるようだ。トラップにダンスホールに、流行ってるものは一通りやろうじゃないかという貪欲さを漲らせ、エド・シーランからチート・コーズまで、曲ごとに異なる共作者・プロデューサーを起用。ファルセットを駆使するパーティー・アンセムの数々で、独身ライフを満喫する姿を描き、セクシーな大人モードへの切り替えに忙しい。

ただ、合間に忍ばせた2曲の切ないブレイクアップ・ソング(“リメンバー”、“ハート・ミート・ブレイク”)や、グループ時代を回想しているかのような“リヴ・フォーエヴァー”では、波乱の年月のデトックスも忘れないリアム。今はただ人生をエンジョイしたいという、切実な想いを裏打ちしている。(新谷洋子)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
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リアム・ペイン LP1 - 『rockin'on』2020年1月号『rockin'on』2020年1月号
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