親しい友としての「孤独」について

ラウヴ『~ハウ・アイム・フィーリング~』
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ALBUM
ラウヴ ~ハウ・アイム・フィーリング~

楽曲の総再生回数が35億回超えというとてつもない記録を打ち立て、一昨年にはプレイリスト的に随時追加されていったコンピ『I Met You When I Was 18.』をリリースと、デビュー・アルバム前に既にその名をシーンに轟かせているラウヴは、即時性と相互性を兼ね備えたテン年代後半のポップ・ミュージック波及の新ルートを辿った成功者の一人だ。そんな彼の満を持してのデビュー・アルバムとなる本作は、BTSトロイ・シヴァンからアン・マリー、アレッシア・カーラやLANYまで、錚々たるコラボレーターを迎えて制作された全22曲の大作となった。でも、「大作」と呼ぶのが憚られるほど軽やかでスムーズな耳触りに仕上がったアルバムで、端的に称するならエレクトロR&Bと括られるサウンドになるのだろう。その表面はあくまで滑らかで、唯一エッジが立っているのがBTSとやったオルタナ・ヒップホップの“フー”だろうか。何れにしてもラウヴの輪郭の滲んだ歌声がそのモラトリアムを最後まで貫徹するように、彼は本作の22曲を意図的にひとつのムードで染め上げている。そのムードとは恐らく、「孤独」と呼ぶべきものだ。

《ドラッグにハマって友達と魂を失った僕が手に入れたのは、見知らぬ人からの“いいね”だけ》だと歌う“ドラッグス・アンド・ジ・インターネット”。《ラブ・ソングにはうんざり、家に帰りたい》、《パーティで相手を見つけようとしても、みんな僕らじゃなくて僕らの曲に恋をするだけ》と、当代きっての愛されポップ・アイコンのトロイ・シヴァンと歌う“アイム・ソー・タイアード…”など、本作は数億人と軽々と繋がるSNS時代の表層の裏側で、《一人きりじゃないけど、常に憂鬱》(“モダン・ロンリネス”)に苛まれる彼や私たち、その一人一人の孤独に寄り添うアルバムなのだ。(粉川しの)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。
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ラウヴ ~ハウ・アイム・フィーリング~ - 『rockin'on』2020年4月号『rockin'on』2020年4月号
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