いつの時代も先鋭的な精神を宿した音楽がそうであったように、音色のテクスチャーやスタイルなどのディテールよりもむしろ楽曲そのものに「永遠の近未来感」を宿した、アバンギャルドでグラマラスなポップ性。アンダーグラウンド感漂うダーティーなヒップホップのビート感をアリーナクラスの高揚感へと編み上げてみせる、緻密で大胆なクリエイティビティ――。NETFLIXで全世界独占配信される「攻殻機動隊」シリーズ最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』オープニング主題歌として提供されたニューシングル表題曲“Fly with me”はまさしく、音楽というアートで時代に抗い己を打ち立てていくmillennium paradeという在り方の何よりの象徴と言うべき楽曲だ。

King Gnuとして時代の風を一身に受けながら常田大希は、millennium paradeとKing Gnuというふたつのアウトプットを「どちらか一方をもう一方のバランサーにする」のではなく、異なるベクトルと目的意識を持った表現として巧みに統率しているように見える。その不穏なまでに鋭利に研ぎ澄まされた才気が、音像全体からほとばしっている。（高橋智樹）