今、「当たり前」にある狂気

yonawo『LOBSTER』
発売中
MINI ALBUM
yonawo LOBSTER
本誌5月号のNew Comerでも紹介したyonawoによる、メジャー進出後初のミニアルバム。福岡出身の4人組ネオソウルバンドだが、宅録で制作した2作のEP『ijo』『SHRIMP』が早耳リスナーの間で話題となり、一気にメジャーのフィールドまで駆け上がってきた。今のポップミュージックの時代性を鮮やかに映し出しているバンドである。どういうことかと言うと、yonawoのメンバー4人はそもそも音楽をやるために集まったわけではなく、中学時代以降の友人同士なのだ。ほんの数年前まで、こういったジャズ/ヒップホップ通過後のソウルミュージックは、音楽学校などの経歴を踏んだプロ志向のミュージシャンが中心になって盛り上げるシーンだった。ところが、そんなシーンの音楽を好んで育った世代にあたるyonawoは、ツボを心得ているのは当然として既にその音楽から独自のヴァイブを振りまいている。甘美な歌とグルーヴの奥底に、嫉妬や猜疑心、自虐や自己否定の暗澹としたマインドが渦巻く強烈なソウルミュージック。この心象とサウンドが「当たり前」に響いている事実こそ、リアルな希望なのだ。(小池宏和)

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