こんなときだからこそ、コレを届けるんだ

グリーン・デイ『オーティス ・ ビッグ ・ ギター ・ ミックス』
発売中
EP
グリーン・デイ オーティス ・ ビッグ ・ ギター ・ ミックス

あれほど楽しみにしていた8年ぶりの日本公演を新型コロナウイルスのおかげで吹き飛ばされたビリー・ジョー・アームストロングの怒りモードは大爆発し続け、厳しい環境にある人を元気づけてくれている。自宅スタジオから“No Fun Mondays”プロジェクトとして毎週、セレクトにうならせられる楽曲のカバー・バージョン発信がまず目が離せないが、4月頭には突如『オーティス・ビッグ・ギター・ミックス』と題してこの3曲入りEPをデジタル・リリースしてきた。

新作『ファザー・オブ・オール…』を出したばかりだというのにこちらは、12年に出た『ウノ!』、『ドス!』、『トレ!』のトリロジー・シリーズから、『ウノ!』に入っていた“オー・ラヴ”、『ドス!』収録の“レイジー・ボーンズ”、“ワイルド・ワン”をピックアップ、3曲中“オー・ラヴ”だけがシリーズ中から唯一シングルとしてもリリースされたナンバーだが、すべて新ミックスが施され、ジャケットとしてビリーのギターといえばもっともよく知られている愛称“ブルー”が掲げられている。

どれもオリジナル・バージョンに比べEPタイトルどおり、ギターにポイントを置いたリミックスがなされていて、ヘヴィさを増したサウンドは新鮮だ。『ウノ!』、『ドス!』、『トレ!』がほぼ毎月、連続でリリースされた当時は、じっくりと聴くというよりも、まず彼らの熱量を消化するので精一杯だった気もするだけに、こうした家にいなければならない時期に振り返るにはぴったりだろうし、実際、元気の出るような音にブラッシュアップされている。

《疲れすぎて退屈できない/退屈すぎて疲れもできない》と歌い出される“レイジー~”は、直に現状に負けるなとのメッセージに聞こえるし、そんな思いを特別な彼女だけにぶつける“ワイルド~”は、世界中でDVが増加している今のような時期だからこそ、昔の気持ちを思い出すんだと訴えてもいるのかもしれない。もともと親しみやすいメロディが切々と訴えてくるグリーン・デイらしい好ナンバーで、とくに今回のギターにやや偏重したミックスによって中間のギターのソロ・パートがひときわ胸に残るものになっているため、こんな良い曲だったっけかと改めて感じられるはず。

そしてグループの願いをまとめ上げるのが、大上段かつストレートに愛を歌うアンセム“オー・ラヴ”で、この状況に立ち向かう全員に向かって訴えかける。《愛よ、今宵、オレに降りそそげ》とのシンプル極まりないメッセージが、いまほど必要とされているときはない。 (大鷹俊一)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。
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グリーン・デイ オーティス ・ ビッグ ・ ギター ・ ミックス - 『rockin'on』2020年6月号『rockin'on』2020年6月号
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