躍り出た英国ロックの新星

スポーツ・チーム『ディープ・ダウン・ハッピー』
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ALBUM
スポーツ・チーム ディープ・ダウン・ハッピー

近年、イギリスではサウス・ロンドンやブライトンを中心にポスト・パンクが盛り上がりを見せている。一方、2010年代の初頭から続くグランジやブリットポップのリバイバルの流れも根強く、かの地のロック・ミュージックはこの10年をへて現在、百花繚乱の様相を呈しているといっても過言ではない。最近では独自のエモ・シーンも活気付いており、そうした傾向はかたやアメリカのインディ・ロックの状況と対照的にも映る。

このロンドンの新人バンドも、そんな昨今の気運を象徴する一組といえる。ケンブリッジ大学で知り合ったという6人組で、本作は待望のファースト・アルバムとなる。一昨年のデビュー以来、評価と期待を一身に受けてきた彼らだが、その声に違わぬ内容といっていいだろう。基本的にはルーズなギター・ロック・サウンドだが、フックの効いたメロディはポップで、シンガロングできる懐の深さがありつつ、タイトなリズムも使い分けるなど手数は豊富。90年代的なマナーとポスト・パンク、加えてエモ〜スクリーモの要素も織り交ぜたバランス感覚は、きわめて今風だ。“Fishing”や“Lander”はその真骨頂に挙げられるが、かたや“Here's The Thing”などで歌唱とスポークン・ワードを交ぜたようなスタイルも披露するボーカリストには表現力があり、一聴したイメージでは捉えきれないポテンシャルも窺わせる。プロデュースはバンドと昵懇のコラボレーターで、コートニー・バーネットの諸作で知られるバーク・リードが手がけている。

全英チャートで初登場2位を記録したことも報じられた本作。その勢いはメインストリームへと彼らを押し上げる浮力となるか。英国のロック・シーンの次を担う新星として、その行方を期待して注視したい。 (天井潤之介)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。
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スポーツ・チーム ディープ・ダウン・ハッピー - 『rockin'on』2020年8月号『rockin'on』2020年8月号
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