燃えたぎる34年ぶりの復活作

アルカトラス『ボーン・イノセント』
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ALBUM
アルカトラス ボーン・イノセント

レインボーに二代目シンガーとして加入した1979年以来、ハード・ロック愛好家たちの間で親しまれてきたグラハム・ボネット。アルカトラスは同バンド脱退後の彼が1983年に始動させたもので、あのイングヴェイ・マルムスティーンがシーンの表舞台へと登場する切っ掛けになったことでも知られる。以降はスティーヴ・ヴァイ、ダニー・ジョンソンとギタリスト交代劇を経ながら3枚のオリジナル・アルバムを発表しているが、本作は実にそのサードから34年ぶりの復活作にあたる。

そして重要なのは、ここでの音楽性が、過去の作品群のなかではイングヴェイ在籍時のデビュー作に最も近いという事実だ。このバンドの現在のギタリストは、伝統的要素とモダンなセンスを併せ持ったジョー・スタンプ。実のところ今作には、クリス・インペリテリ、先頃他界したボブ・キューリックをはじめとするボネット自身と歴史的に所縁ある複数の凄腕ギタリストのゲスト参加や、前述のヴァイの作曲による楽曲なども含まれているだけに、スタンプ自身の特色を色濃く感じさせるまでには至っていない。ただ、御年72歳とは思えないボネットの歌唱には一聴して彼だとわかる声自体のアイデンティティ、熱湯風呂や激辛食品のごとき熱烈さがあり、この作品が果たして現在において新しいのか古いのかを問う気も失せてしまうほどの強引なパワーを感じさせられる。実際これは、普遍的であるようでいて変わり続けてきたこの種の音楽が流行のサイクルを何周か経てきた末の、最新型とも解釈可能かもしれない。全体的に情報量が多く、ブラス・アレンジが異色なクロージング曲“フォー・トニー”以外にももう少し緩急が欲しかった気もするが、文句をつける前にねじ伏せられそうな強力さである。 (増田勇一)



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アルカトラス ボーン・イノセント - 『rockin'on』2020年9月号『rockin'on』2020年9月号
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