張り詰めた空気が美しい

ビッケブランカ『ミラージュ』
発売中
SINGLE
ビッケブランカ ミラージュ
ビッケブランカとドラマといえば、彼の名前を一躍広めた“まっしろ”の印象はいまだに強いが、こういう曲でのビッケはいろいろな顔があるなかで本当にまっすぐに届けるために音楽を紡ぐ、シンガーソングライターとしての真ん中の部分を惜しげもなく出してくる。そしてそういう曲であるほど、そこにはビッケブランカというアーティストの孤独な本質が浮かび上がる気がする。この“ミラージュ”もまさにそんな曲だ。緊張感あふれるドラマの世界に寄り添うようなシリアスなメロディと、まるで主人公ふたりが言葉を交わし合うように折り重なっていく歌詞。《雨を待ってトパーズ色の爪を研ぐ/勿体ぶるような薄明るい旅の中》という詩的な表現に、静と動をダイナミックに移ろうピアノの旋律と息遣いまで聞こえてくるボーカルが説得力を与えている。これを聴いて続く“Shekebon!”を聴くと、垂直に振り下ろされるようなリフとリズムでぐいぐい引っ張るパワフルなビッケブランカのなかにもリリシズムが深く根付いていることが如実にわかる。ドラマ起用が重なってのこのカップリングだが、いい組み合わせ。(小川智宏)

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