素晴らしすぎるバンド作品

デクラン・マッケンナ『ゼロス』
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ALBUM
デクラン・マッケンナ ゼロス

シンガー・ソングライターとして非の打ちどころのない曲作りの技量を弱冠18歳で披露してみせたデクラン・マッケンナのファースト『ホワット・ドゥ・ユー・シンク・アバウト・ザ・カー?』。その1曲目を飾り、ポップ・ミュージックとして圧倒的な厚みと聴きやすさを備えたコーラスやどこまでも筋肉質なアレンジをほどこした“ヒュモンガス”についてデクランは、これが今後、自身の行く方向だと思うと語っていたが、それを遥かに凌ぐ内容となったのが、今回のこのセカンド・アルバム『ゼロス』だ。

たとえば、冒頭の“ユー・ベター・ビリーヴ!!!”はこのアルバムでの飛躍を直裁に語ってくれていて、ツアーをともにしてきたバンドとの演奏のダイナミズムをぶちかましているところが痛快だ。やろうと思えばデクランひとりでレコーディングすることも可能だったのだろうが、あえてバンドのダイナミズムを引き出そうとし、それに成功したところがこのアルバムが示す新章なのだ。また、この曲は単純そうな構造のように思えて、実は、メロディがめくるめくような展開を取っている。結果楽曲が一巡するまでに3分はかかっていて、その間に聴かせるボーカルの展開の閃きがあまりにも素晴らしい。

また“ビー・アン・アストロノート”の限りなくグラム・ロック的なバラードのサウンドはバンドでしかありえないもので、この曲の試みとバンド・サウンドの試みと、どちらについても必然的な結果であることが音の確かさに表れているところがとても頼もしい。それにしても、メロディの取り方があまりにも見事だ。

全曲、バンドとしてやるために制作されたものになっているところが素晴らしいし、構成とアレンジの果敢さに手放しで褒めたくなる。なによりも、バンドでなければできない、新鮮な音になっているところが最高だ。 (高見展)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。
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デクラン・マッケンナ ゼロス - 『rockin'on』2020年9月号『rockin'on』2020年9月号
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