晩年の充実期を生んだ礎がここに

デヴィッド・ボウイ『サムシング・イン・ジ・エアー(ライヴ・パリ 99)』
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ALBUM
デヴィッド・ボウイ サムシング・イン・ジ・エアー(ライヴ・パリ 99)

96年のBBC向けライブ・セッション音源集『チェンジズナウボウイ』の公開に続いて、90年代の本格的なライブ音源も今年に入ってから2作品公開されてきたデヴィッド・ボウイだが、その第3弾となるのが今回の『サムシング・イン・ジ・エアー(ライヴ・パリ99)』だ。

このライブは99年にリリースされた『アワーズ…'』のツアーの一環。これまでリリースされてきた90年代のライブ音源はギターやプログラミングを担当したリーヴス・ガブレルスの存在感がひとつの特徴となっていたが、『アワーズ…'』でリーヴスはデヴィッドとの距離感を感じるようになり、結局、このツアーには参加せず、ふたりの蜜月時代はそのまま終わることになった。

そもそも『アワーズ…'』は97年の前作『アースリング』までの数作における、エレクトロニック・ミュージックにも接近した、どこまでもアグレッシブなアプローチを改め、デヴィッドの本来の曲作りに立ち戻ろうとしたアルバムだ。際立った楽曲については、特にデヴィッド独特のエレジアックな節回しを引き出していく試みが多いアルバムとなっている。そんな楽曲群と織り交ぜるため、デヴィッドは似たようなメロディや情感を持つ過去の楽曲をセットリストに選び出していて、そこがこのライブの最大の聴きどころだ。“ワード・オン・ア・ウイング”、“いつも同じ車で”、“ドライヴ・インの土曜日”などの名曲と『アワーズ…'』からの楽曲は実際、相性がよく特に“サムシング・イン・ジ・エアー”、“サヴァイヴ”、“セヴン”などはこのセットリストによく溶け込んで聴き応えのある演奏となっている。

結果的にデヴィッドにとってはこのアルバムの試みは大成功だったわけで、今後、彼はトニー・ヴィスコンティを呼び戻し、新たな路線をさらに推し進めていくことになる。 (高見展)



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デヴィッド・ボウイ『サムシング・イン・ジ・エアー(ライヴ・パリ 99)』のディスク・レビューは『ロッキング・オン』10月号に掲載されました。
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デヴィッド・ボウイ サムシング・イン・ジ・エアー(ライヴ・パリ 99) - 『rockin'on』2020年10月号『rockin'on』2020年10月号
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