LAカウボーイたちの帰郷

LANY『ママズ・ボーイ』
発売中
ALBUM
LANY ママズ・ボーイ

バンド名はアメリカの二大都市に因み、活動拠点はそのひとつのロサンゼルスに置いていて、ビジュアル・イメージはクリーンで洒脱。フロントマンのポール・クラインは紛れもないセレブリティだし、音楽性も、いかにも都会的なエレクトロ・ポップだ。しかし、ナッシュビルの大学で出会ったメンバーのホームタウンは、オクラホマ、ミズーリ、アーカンソー。LANYは生粋のサザン・バンドであり、キャッチーな名前は、東西海岸とその先にある世界を目指す彼らの野望を表すものだった。

そして結成から6年が過ぎ、見事にそれを実現させたトリオは、3rdアルバムに至って今まで特に触れることがなかった、自分たちの出自を明らかにしている。冒頭を飾るのは、オーガニックでスケール感のある新路線を早速打ち出す、かつてなくロック・バンド然としたシングル曲“ユー!”。以後全編にわたって、アメリカーナやカントリーやゴスペルのニュアンスをメロウなLANY節に落とし込み、“恋愛感情の移ろい”という定番テーマを引き継ぎながらも、視線は常に故郷の方角に向けている。例えば、都会で暮らしていて意識する南部気質を歌った“カウボーイ・イン・LA”や、家族に宛てた手紙形式の“イフ・ディス・イズ・ザ・ラスト・タイム”は、中でも非常に分かりやすいオマージュだ。

他方で、ちょっとした情景描写や英語のアクセント、或いはペダル・スティールの響きなどなど、細かなヒントも随所にちりばめられ、3人のプライドや郷愁の念を雄弁に伝えている。「サザン」や「ルーツィー」や「アンセミック」といった言葉で彼らを語ることになるとは思ってもみなかったが、乾いた風が吹くワイドスクリーン版LANYの魅力を知ったからには、もうあとには引けない。 (新谷洋子)



各視聴リンクはこちら

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


LANY ママズ・ボーイ - 『rockin'on』2020年11月号『rockin'on』2020年11月号
公式SNSアカウントをフォローする

洋楽 人気記事

最新ブログ

フォローする