デビュー時期以来の名タッグパートナーであるSONOMIとのコーラスが美しい新曲。そもそもは、残念ながら無期限延期となったホール／アリーナツアーで披露されるはずだった楽曲であり、オフィシャルオンラインショップ限定でCDが販売されていたのだが、この9月に晴れてデジタルリリース解禁となった。生きてきた時間を慈しみながら未来へと繋げる、優しい響きのエレクトロソウルである。ただし、KREVAのヴァースに込められた思いはもっと奥が深い。支持を獲得しながらキャリアを重ねる表現者たちには、いつしか特定の「役割」を要求されることもある。それは時に、新たな表現の足枷にもなるだろう。本来あるべき《素敵な時》とはどのような形をしているのか、思い悩む日々は続く。長い歴史の中で星の数ほどの人々が苦悩してきたテーマを歌っているのだ。さらに、先頃開催された「908 FESTIVAL ONLINE 2020」でも大活躍だったSONOMI。近年の彼女のパフォーマンスに触れるたび、すごいシンガーになったなあ、と惚れ惚れさせられる。そんな角度で触れてみても、味わいが増してくる楽曲だ。（小池宏和）

『ROCKIN'ON JAPAN』2020年11月号より