前作『ユラレル』で多彩な音楽性と生きることへの渇望を見せ、緊急事態宣言発令中にはSNSを通じてファンとともに楽曲制作を行う「みゆなの部屋」を企画するなど、様々なチャレンジを行い続けてきた彼女の3rdミニアルバムは、アーティスト／シンガーソングライターとしてのみゆなの、これまでの歩みと現在位置がダイレクトに反映された意欲作だ。

同郷のクボタカイを客演に招いた共作曲、yonawoの荒谷翔大が作詞作曲を務めるメロウなネオソウルナンバーといった九州出身の若手アーティストと制作した楽曲や、會田茂一を編曲に招いた硬派でユニークなロックナンバーなど、歌詞に登場する人物の多くは自分以外の誰かへと熱視線を送る。それは孤独を感じやすい現代で懸命に生きる人々に向けた、切実な愛の告白のようだ。そのなかで存在感を放つのが内省的な“my life”。弱音の混じる心情吐露から、少しずつ強い意志が芽吹いていく様は、静かでありながら逞しい。高く澄んだ空から深い海まで自由に往来するようなレンジの広い歌声の、凛々しさと妖しさのコントラストにも舌を巻く。（沖さやこ）

『ROCKIN'ON JAPAN』2020年12月号より