今を生きる者すべてへの喝采の音

ストレイテナー『Applause』
発売中
ALBUM
ストレイテナー Applause
鳴り響く場所すべてを希望への行進の道に塗り替えるような“Graffiti”をはじめ、“叫ぶ星”“さよならだけがおしえてくれた”といった既発曲群の時点で十分あった劇的進化の予兆を、前作『Future Soundtrack』から約2年7ヶ月ぶりとなる11thアルバムでストレイテナーは遥かに凌駕してみせている。シンセ音色とバンドサウンドのマーブル模様が心地好いポップ異次元を描く“倍音と体温”。世界の軋轢そのもののように切迫したアンサンブルの中で《どんな希望を鳴らすの?/明るい未来かな?/大切なモノだけ/ぼくは守りたい》と決然と想いを掲げる“ガラクタの楽団”。物憂げなシャッフルビートとともに脈打つ、“Dry Flower”のブルージーなドラマ性……。ジャンルやスタイルとしてのロックにとらわれることなく、多様な音楽のテクスチャーを血肉化することで、他のどのバンドとも異なる形の「ストレイテナーのロック」が色鮮やかに顕在化する――という音の永久機関の在り方を、改めて真っ向から提示した名盤だ。最終曲“混ぜれば黒になる絵具”の、無垢で強靭なビートと音像には感激必至。(高橋智樹)

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