年明け一発目も、前作に引き続きダブルタイトルのシングル（ただし今回はCDが出る）で、“本音”はリリースの頃に佳境を迎える「全国高校サッカー選手権大会」応援歌。歴代の応援歌に倣うように、青春真っ只中を生きる人々のかけがえのない時間を捉え、美しく壮麗なバラードへと落とし込んでいる。片岡健太（Vo・G）は、かつて自身の体調問題でバンド活動を休止した時に、メンバーから受け取った言葉を思い返していたという。大きな目標に向かう過程で個々が極限状態に置かれた時、そこで曝け出された本音は、上辺だけの笑顔などどうでもよくなるほどの理解と信頼を導き出してくれる。sumikaのリアルな経験が宝物のように輝きを放ち、次世代に手渡される曲だ。

一方の“Late Show”は、悲喜交々で曲がりくねり壊れかけた恋路を、ドリフトで駆け抜けて《間に合え》と思いを迸らせるスリリングなナンバー。今後のライブを盛り上げる1曲となることは間違いない。アレンジも含めて極端なほど幅広いsumikaの表現レンジを伝えるシングルである。（小池宏和）

『ROCKIN'ON JAPAN』2月号より