やっぱり、いてくれないと困る

ソウル・フラワー・ユニオン『ハビタブル・ゾーン』
発売中
ALBUM
ソウル・フラワー・ユニオン ハビタブル・ゾーン
2年ぶりのニューアルバム。宣伝資料、全10曲のうち4曲に「※オンエア推奨曲」と書いてあって、「多すぎでしょ」と思ったが、通して聴き終えた時点で「わかる! もっとあってもいい」に変わっていた。ソウルフルで軽やかで一緒に歌いたくなる“ラン・ダイナモ・ラン”。怒りや悔しさや悲しみを中川敬の歌声が浄化していくような“団地のエコー”。タイトルも歌詞も曲調も「これぞSFU!」と心底うれしくなる“ダンスは抵抗”。《夜を使い果たそう 音楽が舞い戻る/失望の窓に 光が溢れてゆく》《漆黒の空に 光が溢れてゆく》というサビがとても耳に残る“夜を使い果たそう”。ロックやソウルやブルースより前の音楽や、英米以外の音楽もルーツにして新しいものを生み出す、他の音楽が描こうとしない世の中の現状を歌にする、というのが元々のSFUのスタンスだが、今作ではそれが聴き手を選別しない、「SFUとはなんぞや」という前提を必要としない、要はポップな方向に進んでいる気がする。このキャリアで、しかも今の社会状況の中で、こんなアルバムを作れるのってすごい。(兵庫慎司)

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