前作から約4ヶ月ぶりにリリースされる5thシングル。表題曲は初のブラスアレンジを加えたラテン風味のバンドサウンドで、現状を変えるため、未来をより豊かにするために一歩踏み出す人間の心情を鮮やかに描く。タイアップドラマの要素をふんだんに用いた詞曲の軸に存在するのは、自分の表現したい音楽を追求すべくシンガーソングライターとしてのキャリアを着実に積み重ねてきた彼女自身の姿。《私たちまだこれからでしょ》とさらなる発展を思わせる言葉で楽曲を締めくくるところも凛々しく爽快だ。

“ぼくはおもちゃ”ではおもちゃ目線で持ち主が成長し自分から離れていく寂寥感を切々と語りながらも、一緒に過ごした時間を尊び送り出すという深い愛情を綴る。SHE’Sの井上竜馬がプロデュースを担当し、SHE’Sが編曲と演奏を務める“oasis”では、苦悩を抱えながらも自分を取り巻く世界を変えようと一念発起する赤裸々な歌詞が痛烈だ。この2曲を表題曲のアナザーストーリーとして捉えてみると各曲がより味わい深い。過去の様々な記憶と想いが糧となり、未来を切り開くことを教えてくれる。（沖さやこ）

『ROCKIN'ON JAPAN』4月号より