20年を経て入り込めた真世界

ミューズ『オリジン・オブ・シンメトリー (XX・アニバーサリー・リミックス)』
発売中
ALBUM
ミューズ オリジン・オブ・シンメトリー (XX・アニバーサリー・リミックス)

2001年に発表された2ndアルバム『オリジン・オブ・シンメトリー』の20周年を記念して、リミックス&リマスター+新たなアートワークを施した作品。ミューズは現在に至るまでずっと進化を続けているバンドだけれど、そんな中で「過剰」「構築美」「壮大」といったキーワードが揺るがぬ芯となったのは、『オリジン〜』からだろう。今作では、その真価が鮮やかに炙り出されている。

今作のプロデュースを務めたリッチ・コスティにバンドが求めたのは、音の解像度の高さだったそうだ。その成果か、次々に細やかなアンサンブルと気迫あるサウンドが溢れ出てくる。個人的に、リアルタイムでは1st『ショウビズ』を、ああ王道のUKロックねと判断してしまったものの、3rd『アブソルーション』で憑りつかれた流れがあるので、『オリジン〜』は名曲こそ多いものの過渡期だろう、と位置付けていたのだけれど、いやいやいや! 『オリジン〜』も、いい意味でタガが外れているではないか。

というか、今更だが『ショウビズ』にも種はあって、『オリジン〜』で水をたっぷりあげたからこそ、『アブソルーション』で花が咲き誇ったのだ、ということを、これを機に復習できる。

”スペース・ディメンシア”の、アビイ・ロード・スタジオ録音のストリングスの美しさと、それに拮抗する歌声やピアノ。“マイクロカッツ”の琴線を震わせるハープシコード。みんな大好き”プラグ・イン・ベイビー”のヒリつくギターと、抜けるようなサビ。ああ、これが『オリジン〜』の本来の姿か、と思えるようなクリアさがある。

ジャケットも、ウィリアム・イーガーのオリジナル・アートワークが3Dレンダリング加工され、アルバムの世界観の内側にいざなわれる仕上がりになっている。長い年月を経て、やっと見えるものもある。今作は、そう物語っているようだ。(高橋美穂)



ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。
ご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。

ミューズ オリジン・オブ・シンメトリー (XX・アニバーサリー・リミックス) - 『rockin'on』2021年8月号『rockin'on』2021年8月号

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