平均年齢19歳のガールズバンド、Conton Candyの2作目のEP。高校時代の軽音部にて「ベスト」なメンバーで結成されたのが2018年。八島紬衣（Vo・G）と、鈴木楓華（B）、鈴木彩楓（Dr）という双子のリズム隊が織りなす3ピースのアンサンブル、そして八島の力強くもどこかドリーミーな歌声には一聴してすぐに引き込まれる魅力がある。今作1曲目の“執着”で聴かせる美しいコーラスワークも、“envy”でのいい意味で一癖あるギターリフにも、10代とは思えぬタイム感が確立されていて驚いた。シンプルなバンドサウンドながら、Conton Candyとしての個性がすでにその音像に表れているのだ。キュートな歌声が歪んだギターサウンドと絶妙に絡み合うから、甘さの中に微かに陰影や毒気が混じる。その独自の揺らぎにいつの間にか引き込まれていく。同世代の支持を集めるだけでなく、多くの音楽ファンにアプローチするバンドになるはずだ。このポップ感覚は新鮮。 “濁り”のエモーショナルで切ない歌声にもグッとくるものがあり、全5曲、良曲が詰まった充実のEP作品である。（杉浦美恵）

『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より