愛を突きつけるナイフ

RQNY『pain(ts)』
発売中
DIGITAL
RQNY pain(ts)
重く太いベース、神聖さというよりはむしろ孤独の深さを聴き手に突きつけるデジタルクワイア――冒頭の“戻れたなら”から、RQNYは聴き手に安易な希望も、安っぽい共感も手渡す気がないことがわかる。むしろ、彼は私たちの喉元にナイフを突きつける。無論、それは脅しの為ではない。愛し合う為である。

「pain」と「paint」が掛けられたタイトルが示すように、この現在21歳、日本とルーマニアのハーフであるという以外の情報がほとんどない謎に満ちたアーティストの1stEPには、「痛み」が様々な色彩によって描かれている。儚いピアノの旋律が存在感を放つトラック、鋭いフロウ、“Lone Wolf”ではギターと歌のミニマムな響きでアウトサイダーとしての気高さを表現してみせ、彼の音楽的な懐の深さを感じさせる。

人生を引き受けることは、マウントの取り合いで勝つことではない。《誰も見ちゃいない 助け舟はない/でもそんな事じゃない/なぁ君にも分かるだろ?》(“live for”)――敗北、夢、孤立、愛。RQNYは彼の人生で引き受けるべきことを引き受け、歌っている。(天野史彬)

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