かくも気高きポップと衝動

Van de Shop『鯨骨群衆』
発売中
MINI ALBUM
Van de Shop 鯨骨群衆
ストリートのリアルな憂いと、そこで抱き続ける理想主義的な矜持、さらにアートの先鋭性を最短距離で結んだような、唯一無二のポップマジック――。2020年にボカロP「蜂屋ななし」としての活動を終えた栗山夕璃(Vo・G)と、栗山のボカロアレンジも手掛けてきた端倉鑛(Manipulator・DJ)、自身もボカロPとして活動する仁井伯(Pf・Key)の3人によるVan de Shopの1stミニアルバムは、バンド音楽への尽きぬ愛情と、バンド表現の可能性を批評&対象化しつつ「その先」を夢想するクリエイティビティに満ちている。

デビュー曲“レセプション”のジャジーでアグレッシブな音像。“アグリースワン”の狂騒と疾走のスリル。“コメディなヒーローになれたら”のゴスペル的な高揚感……。メロディ/歌詞/アレンジが高度な構築性に貫かれていながら、その楽曲は痛快なほど伸びやかな肉体性とともに響いてくる。作品全体で「孤独な鯨と幽霊の少女の物語」を描き上げてみせるコンセプチュアルな構成に至るまで、およそ死角も限界も感じさせない才気による珠玉の「序章」。(高橋智樹)

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