時代の首根っこを掴まえる名コラボ

Ado『行方知れず』
発売中
DIGITAL
Ado 行方知れず
Ado(歌唱)×椎名林檎(作詞・作編曲)による話題のコラボ曲“行方知れず”がデジタルリリースされた。映画『カラダ探し』の主題歌であり、本予告映像で触れた楽曲の断片では、見事なまでの椎名林檎節メロディに驚かされたわけだが、果たしてフル音源に触れてみると、Adoへの提供曲として丹念に練り込まれた楽曲になっていてまたもや驚く。エレクトロニックな歌い出しから、急転直下に傾れ込むポストグランジの強力なバンドグルーヴ。誰が味方で誰が敵か。何が真実で何が嘘か。まさに《一億総ノイローゼ互いにはなし聞いてディスカバー》な世相をぶった斬るように、Adoの歌声はシーンに轟いていた。椎名林檎はそんなAdoに《汚れたいの前線で 誰か用立ててくれよ》《壊れたいの全霊で 素面の侭ぶっ飛ぶぞ》といった歌詞を提供するのだが、Adoは恐ろしくスリリングな節回しでこのサビを歌い上げてみせた。多様性が唱えられる一方で分断や諍いが絶えない時代。メインストリームもサブカルチャーも際限なく混交する時代。そんな時代の首根っこを引っ掴んで新たなフェーズへと連れてゆく楽曲だ。(小池宏和)

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