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古今東西の音楽や映画、演劇と幅広い素養をもとに弾き出される、シンガーソングライター・lukiの奥深い表現。本作は全8曲を収録した最新ミニアルバムだが、これまでの作品とは大きく趣向の異なった部分がある。それは、全編が外部ソングライター/プロデューサーによる楽曲提供を受け、そこにlukiの歌詞が乗り、歌われる作風になっていることだ。そもそも、lukiは多作家と呼んで差し支えないほどハイペースにオリジナルの自作曲を生み出してきた人なので、これは意外な挑戦ですらあると思う。前作『新古今洋歌集』はlukiの重要な音楽的ルーツであるブルースやフォークを独創的な解釈でカバーした作品だったが、そこから「他者が生み出した楽曲に自ら歌詞をつけて歌う」というプロセスに可能性を見出したのだろうか。アッシャーやTLCのヒット曲を手掛けた経歴を持つアニタ・マクラウドをはじめ、強力なソングライター陣の作品に触発された歌詞と歌声。ウェルメイドな大人のポップでありながら実験的でもある作品だ。(小池宏和)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年10月号より抜粋)
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