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《いま、後悔の続きをしようぜ/怠惰な足で歩いていけ/あいつと比べて/自分には/何が無い?何が必要?》――スタジアム級の音像とともに苛烈な自問自答を突き上げる先行配信シングル曲“チェックメイト”が、CLAN QUEENの2ndアルバムとなる今作の空気感を雄弁に物語っている。“求世主”や“自白”、“ゲルニカ”など既発曲群における言葉と音の精緻な構築性、そこから狂おしく立ち昇る出口なき煩悶は、AOi/yowa/マイの描き出す音楽世界の特徴でもあった。が、それこそ《説明書なんて読んでいないし/誰も歌詞なんか聴いていない様に/私の事などちゃんと見ていない》とひときわ切実に紡がれる“Apophenia”も《不正解は無意味かい?/あらぬ正解はLie/既に不格好/自意識はDie》と世界に疑念を掲げる“SPEED”も含め、誰もが生きるうえで抱かずにいられない苦悩や違和感そのものを空前絶後の巨大なアートワークとして編み上げ響かせようとする「変革者の覚悟」が、今作に破格のスケール感と切迫感を与えている。(高橋智樹)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年7月号より)
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