『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
バンドらしい生々しい音色も相俟って「生きる」というテーマが浮き彫りになっている。魚喃キリコの名作と同名の“痛々しいラヴ”が収録されている影響も大きい。事実を突きつけられた絶望と遠く甘い記憶が混じり合った白昼夢が立ち昇るようなイントロは、「生と死」に直面した心情をしっくり映し出している。さらに《君がいつか前みたいに/君がいつか描けますように/そしてそれをいつか読めますように/それまでおやすみ愛してる》というメッセージも、率直すぎて涙が出た。走りたくなる感情的フォーク“タヌキネイリ”も、キーワードがちりばめられた独白のような“生きてみます”も、生命力に溢れている。独特の節回しも「歌詞を刻みつけたい」意思そのものに思える。そして何より、《あとちょっと もうちょっと 売れてれば良かったのか》と揺れながらも、《これを好きな私が私は好き/死にたい夜をぶっ殺す声が/ 恥ずかしいくらいに刺さる今を生きてる》と宣言する、その名も“私の歌”が、今作が生まれた理由を雄弁に語っている。(高橋美穂)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年6月号より)
『ROCKIN'ON JAPAN』6月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。