ドキドキさせる身体

椎名林檎『性的ヒーリング〜其ノ四〜』
2009年08月26日発売
DVD
椎名林檎 性的ヒーリング〜其ノ四〜
03年以来久しぶりの『性的ヒーリング』であり、“ありあまる富”以後6曲のイメージ映像が収録されている。椎名林檎がフォトジェニックなのはいうまでもないが、今回の特徴は「被写体である彼女」の存在を前提にしたうえで、いかに遊べるか追求した映像が多いこと。

“旬”では彼女の素肌をスクリーンにして、そこにキーボードの映像が投射され彼女が弾かれる状態になる。また、自身の姿が彼女の肌に映される時間も長い。一方、マボロシと共演した“流行”では、彼と林檎が歩く通路の両脇に、2人が映るモニターがずらっと並んでいる。さらに“都合のいい身体”では、ミュージカル仕立てのアニメのなかに彼女だけが生身で登場するが、アニメ化された林檎の登場する部分もある。このように映像や絵になった林檎がビデオ中に登場することとの対比で、そうではない素の身体の「生々しさ」が強調されることになる。見る者はもう、ドキドキしてしまう。したがって、『三文ゴシップ』のヌードなビジュアル・イメージの発展形が、この映像集だといえるだろう。(遠藤利明)
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