一定不変の美学を衒いなく展開していくだけだが、その境地はますますシンプルなものになっている。もともとシンプルだったものからさらに贅肉が削ぎ落とされ、本当に骨組みしか残っていない。特に歌詞はそうだ。キャリアを経るに従ってどんどん単純化されていくようなこの潔さ。子供でも知っているような簡単な言葉しか使われないが、解釈のためのサービスや伏線がほんどなく、意味を深耕しようとすると意外に手こずる。言葉少なだから含みがあり、想像力を刺激するかといえばそうでもなく、むしろ、発せられた言葉をそのまま、ありのまま受け入れるしかない。裏の意味があるのかないのか、もはやどっちでもいい。そうして答え合わせをすること自体が、いや「意味」それ自体がもはや無意味なのだと彼らは言いたいのかもしれない。
ロックをこよなく愛する彼らだからこそ作れるサウンドは歌詞ほど簡素ではなく、意外に幅が広く、手練れのワザを発揮する。あとはただこのビートにカラダを委ねるのが正解だ。(小野島大)