生きる躍動感こそロックンロール

ザ・クロマニヨンズ『Oi! Um bobo』
2010年11月10日発売
ALBUM
“オートバイと皮ジャンとカレー”“ひらきっぱなし”といったソリッドの極みのような8ビート・パンク、“いきもののかん”のようなロックンロールももちろんだが、前作同様に全編モノラル&ダイレクトマスタリングで制作された今作にはちきれんばかりの躍動感を与えているのはやはり、《キャデラック 空も飛べるんだろう》とそらっとぼける“キャデラック”であり、灼熱のポップ感があふれ出す“7月4日の横田基地”であり、堂々たるロックンロール・マーチ“南南西に進路をとれ”である。そもそもロックという型から何らかの答えを導き出そうとするのではなく、ネガティビティやルサンチマンを燃料にこの世界を突っ切ろうというのでもなく、純粋にバンドをやって生きている躍動感そのものをロックンロールとしてぶん回そうとして始まったのがクロマニヨンズである――という存在証明のような1枚。《深いぞ 海は アナーキー/広いぞ 空は アナーキー/やさしいぞ 人間は》(“我が心のアナーキー”)と一点の曇りもなく歌い上げる姿がロックンロールとして成立するのは彼らぐらいだ。(高橋智樹)