必ずそこへ連れて行く

capsule『WORLD OF FANTASY』
2011年05月25日発売
ALBUM
capsule WORLD OF FANTASY
今年デビュー10周年となるcapsuleの、前作から1年あまりでリリースされるニュー・アルバム。中田ヤスタカがcapsuleに与えた役割は、Perfumeの成功と前後して次第にポップ・ソングのフィールドからダンス・ミュージックたる機能へとシフトしてきたが、本作はその決定打だ。こしじまとしこのボーカルは歌の物語性よりもトラックによって意味が押し広げられるリフレインのフックとして乗せられ、トラックBPMは作品全編を通して統一感のあるものになっている。つまり、完全なフロア直対応型なのだ。
 
今や日本人の多くが知っているように、中田ヤスタカは本来、ダンスビート・クリエイターであるには留まらず優れたソングライターでありメロディ・メイカーだ。そんな彼がここまでダンス特化された作品を作り上げるということは、ほとんどタフな縛りプレイに近い。しかし各トラックに盛り込まれたアイデア量は膨大で、その上洗練されている。聴く者が列車に乗せられたまま切替ポイントを経由しいつの間にかダンスの現場へと誘われてしまうかのような中田マジックの、ここが新しい到着駅だ。(小池宏和)
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