そこに救いはあるか

BIGMAMA『♯DIV/O!』
2011年09月14日発売
SINGLE
BIGMAMA ♯DIV/O!
前作から約2ヶ月で届いたシングル『#DIV/0!』。金井政人がソングライターとして新たなステージに立ったことは、前作の『秘密とルーシー』ですでに証明されているが、彼はその場所に留まるつもりは毛頭無いようだ。それは今作を聴けばわかる。彼の言葉は一層生々しく、残酷になり、それは人間誰もが持つ醜い欲望を冷静かつ辛辣に暴く。詞中のカウントダウンがゼロになった時、そこにあるのは人間の強欲と狂気によって産み落とされた崩壊の瞬間と虚無。それでも《人はどうして 分け合う事に怯え/挙句の果て 奪い合ってしまうの》と問いかけるのは、人間の愚かさを見据えながらも、すべてを包み込む「愛」とか「情」の存在を信じ、救われない疑念の渦に一筋の光を見出そうとしているからだろう。もう1曲の“GhostWriter”はサビのフックが痛快なアッパーチューン。己の生き方を阻害する顔の見えない他者への不安が滲みながら、それに屈しないで生きようとする決意の歌にも聞こえるこの曲は、“#DIV/0!”と同様「人」に向き合っている。BIGMAMAに熱い血液が勢いよく巡り出した今作、聴き逃すな!(中村萌)
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