今の80KIDZは、当初のイメージから随分遠くにまで、その表現スタイルを進歩させている。この最新フルアルバムの印象を一言で表そうとすると、「ロック」としか言い様がない。配置された楽曲群のヴァイブは多種多彩で、1曲ごとに異なる感情が次々に喚起される。爆音だからロックだとかエモーショナルだからロックだとか踊れるからロックだとかいうことではなく、半世紀も昔の人々が「スタイルが括り切れないから総じてロック」と名付けてしまった感覚は例えばこういうことではないかという、そんな作品である。
　
『HOTSTUFF』EPとの重複曲は本作のタイトルにも流用された“TURBO TOWN”のみだが、Ali&JUNのツイン・ギターがフィーチャーされたこの骨太なナンバーの存在は大きかったのだろう。加えて、80KIDZの雄弁なソングライティングが、まるで解き放たれたかのようにあの手この手で噴出する。結果、ダンス・アルバムとしての機能も果たしつつ、リスニング向きの作品としても深い手応えを残してくれるのだ。なお、4月7日には代官山UNITでプレ・リリース・パーティが開催される。（小池宏和）