前々作『イヴン・イフ・イット・キルズ・ミー』以来の古巣エピタフ復帰ということで、ジャスティンの三枚目魂逆噴射的なポップ・サウンド炸裂……と思いきや、盟友エド・アッカーソンとの共同プロデュースで完成したモーション・シティ・サウンドトラック5作目の今作はがらりと趣が異なる。「ぼくはばかでかい図体のだめ男/歩く手榴弾/超躁病野郎で 大仰な安物雑貨店みたい」というネガティヴ過積載のフレーズを、どこかクールにすら響く多幸感とともに歌い上げてみせる“トゥルー・ロマンス”。真摯なビートとメロディに乗せて告悔のように自らのダメダメ人生を振り返り「これはまた まともな状態でいられる好機かも」と悟りを歌う“タイムラインズ”。アコギとシンセ・ストリングスが壮大な風景を描く“エヴリワン・ウィル・ダイ”。ジェシィの爆裂ムーグと熾烈なギターがジミー・イート・ワールドばりにシリアスな世界を紡ぐM8“ザ・ワースト・イズ・イェット・トゥ・カム”……今年35歳のジャスティンのモード・チェンジが、バンドの磁界の向きをさらなる冒険の地平へ向けたような、驚愕の極限進化作。(高橋智樹)