混沌を貫いて響く生命力

アラニス・モリセット『ハヴィック・アンド・ブライト・ライツ』
2012年08月22日発売
ALBUM
アラニス・モリセット ハヴィック・アンド・ブライト・ライツ
自らの破局も魂の滋養として結晶化してみせたような前作『フレイヴァーズ・オブ・エンタングルメント』から4年。結婚&出産を経て完成した今回の8thアルバムは、「苦境と希望の光」というタイトル通り、世界と人生に闇と光を1つ1つの楽曲の中に丹念にプログラミングすることで、触れた者は誰もが自然と日々の「苦悩」を「充実感」で上書きしながら、気づけば爽快な風の吹き抜ける場所に立つことができる―そんな力強さに満ちている。

ハード・エッジなギターと澄んだピアノの対比越しに、混沌の中で正気を装う「あなた」へのパワフルな福音を降り注がせていく“ガーディアン”をはじめ、前作同様プロデュースを担当するガイ・シグスワースの意匠は、彼女の歌と楽曲にエレクトリックな「武装」を施すというよりも、むしろエレクトリックなサウンド・テクスチャーとのコントラストによって、アラニス自身が色濃く滲ませるオーガニックなヴァイタリティを浮き彫りにすることに成功している。かつて「恋に悩む女性の赤裸々で辛辣な代弁者」だった彼女の歌は、生命力の化身のようなヴァイブを帯びるに至っている。(高橋智樹)
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