１曲目でフィーチャーされているメロトロンやピアノの音とか、６曲目の右チャンネルに入れられたチャコチャコしたギターなどのアレンジのみならず、楽曲全体が、思わず「軽快」という言葉を使ってしまいそうなポップな感触に溢れている。オリメン再結成を果たして以降、意外にも（？）マイペースに順調な活動を続けてきた彼らだが、ここにきて新展開に突入したのだろうか。

リユニオン当初は神経質になっている様子も窺えたルー・バーロウも次第に馴染んできて、2010年の末にインタヴューした時には「来年にはダイナソーJr.の新譜を作り始めるつもりで、マーフが（自分の住む）ＬＡに引っ越してきたから、声をかけて一緒に何かやろうと思う」と話しており、明らかに以前よりも積極性を感じさせた。ルーが書いたナンバーは今回も２曲で、前作／前々作と数こそ変わらないものの、より強い個性の主張が表れているし、何事にも動じなさそうなＪ・マスキスも、これに刺激を受けたのかも。

いずれにしろ、ダイナソー本来の魅力は残しつつ、かなり新鮮な感覚を持って聴ける新作になっていると思う。大いに評価したい。（鈴木喜之）