復活の号砲的シングル・ナンバー“僕の歌は知っている”のマッシヴな熱狂感、そして勇壮なストリングス・アレンジを貫いて「俺がお前を不死鳥のように蘇らせてやる！」というパトリックの熱唱が轟くオープニング・ナンバー“ザ・フェニックス”が、フォール・アウト・ボーイの4年間の不在などきれいさっぱり吹っ飛ばすように響く5thアルバム。数多の音楽的探究を経てハイパーなポップ極限進化を遂げてきたFOBだが、「ロックンロールを救え」というタイトルとともに、バンドを始めた当初の制御不能な衝動を自分たちの「今」へとジャック・インすることで、その音楽世界から新たなロックンロールの翼が生えたような覚醒感に満ちた作品に仕上がっているのが嬉しい。コートニー・ラヴをフィーチャーした“ラタタット”の獰猛なまでの歓喜追求ぶり。エルトン・ジョンを迎えたタイトル曲“セイヴ・ロックンロール”の、2013年の音楽シーンど真ん中に新たなロックの記念碑を打ち立てにいくような、荘厳なまでの高揚感……デビュー作からちょうど10年、世界をリードするアイコンとしての新たな躍動感と使命感に満ちた快作。 （高橋智樹）