ロックの「あざとさ」とは知性である

クリープハイプ『憂、燦々』
2013年05月01日発売
SINGLE
クリープハイプ 憂、燦々
思い切って書いてしまうが、ぼくにとってクリープハイプというバンドはひと言で言うならあざといバンドであった。特にチャートをヒットするバンドになってからの現状を揶揄するフレーズをぶち込む批評性も、あのエモーションの洪水のような歌詞もなかなかやるやないかと思っていた。しかし、そもそも優れたロックバンドはクレバーでなくてはいけない。その意味では、尾崎は極めて賢く、しぶといヤツだとも思っていた。で、この新曲である。これがまた全然あざとくないのである。TVCMということで様々な制約を受けて作ったこの曲はどストレートなポップソングなのだ。素晴らしいのは、これまで6:4くらいの比率だったシニカルさとやけくそな前向きさのバランスが見事に逆転しているようなイメージがあることだ。もしかしたらちょっと外向きのモードなのかもしれないが、それはそれでいいと思う。よそゆきの自分を照れ笑うようにまたシニカルに揶揄すればいい。それをまた新たな黄金律にして転がっていけばいいのだ。それができるくらい、尾崎はあざとく、賢く、しぶといヤツなのだ。(小柳大輔)
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