奇跡のトリプルタイアップシングル完成!
アルカラに今何が起きているのか!?

アルカラ

国民的アニメ『ドラゴンボール超』のエンディングテーマ “炒飯MUSIC”、『怪盗ジョーカー』オープニング曲“怪盗ミラクル少年ボーイ2”、PS4『LET IT DIE』の公式参加ソング“LET・IT・DIE”――3曲すべてタイアップ曲という、シングルとしては「ど真ん中ストレート」な今作『炒飯MUSIC』がかえって「超絶変化球」に思えてしまうのも、ロック界の奇行師=アルカラゆえだろう。「起承転結」ならぬ「転転転転」な展開の痛快なナンバー“炒飯MUSIC”が象徴するアルカラの「ポップの謎」に、稲村太佑&下上貴弘へのインタビューで迫ってみた。

インタビュー=高橋智樹

「何やこれ?」って思わしたい、っていうのがまず一番にあって

――“炒飯MUSIC”はどういう経緯で話が決まっていったんですか?

稲村太佑(Vo・G) 「『ドラゴンボール超』のエンディングをやらないか」という話をいただきまして、めっちゃ嬉しいなあと思って。やっぱり僕らの世代って、たぶん『ドラゴンボール』を観て育ってきた世代で。筋斗雲に乗ったりとか、「かめはめ波」を出せたりとか、悟空がぐわーって大食いする感じとかに、すごくロマンを感じてた世代なんで。まさか自分らがそれをやるとなると、すごく責任感を感じて。流れる期間が3ヶ月って決まってたりしたので、単純に曲を作って、ちょっと疾走感があって、男の子が好きそうで、攻撃的で――っていうだけでやっちゃうと、残らん気がしたんですよ。「何やこれ?」って思わしたい、っていうのがまず一番にあって。

――なるほどね。

稲村 で、次に大きく思ってたのが――僕らの世代ってちょうど小学生ぐらいの子供がおったりして、僕の知り合いの中には、子供と一緒に『ドラゴンボール』を観てる人もいて。そういう方がこの曲を聴いて、「お父さんの時の悟空はこんなんでな、クリリンは最初めっちゃ弱くてな」とかいう会話が、音楽を通してできてくれたりとかすると、子供は子供で「じゃあ昔の曲ってどんなんやったんやろ?」って戻ってもらえたりとか、「昔の悟空はこんな小さかったんやな」って作品を遡っていくきっかけになったらいいなって思ったんですよ。そのためには、初期と言われる『ドラゴンボール』とか『ドラゴンボールZ』とか、久しぶりに昔の曲を思い出してほしいな、っていうのがあって。銅鑼の音を入れてみたりとか、『ドラゴンボールZ』のエンディングの……えーと、曲名がいっつも出てこない!(笑)。

下上貴弘(B) “でてこいとびきりZENKAIパワー!”?

稲村 “ZENKAIパワー!”!(笑)。最初に悟飯が山登りながら出てくるんですけど、その時に「◯×※$■%△0!」って逆再生で言ってるのを、幼い時に「あれ何なんやろな?」って思ってたんですよ。そういう要素を今回の曲に織り交ぜていくことによって、たぶん僕ら世代でも、そこにピュッとアンテナ立つやつもいるだろうなと思ったんですよ。ただ単純にザッツ・アルカラな曲を作るんじゃなくて、やっぱり『ドラゴンボール』と自分なりに掛け算したいなって。そういう中で、悟空の大食いシーンとか、口の周りめっちゃ汚くなってる感じとかを思い出すと、「炒飯かなあ」って。あともうひとつ、僕は最初、勝手に90秒やと思ってたんですよ。

――ああ、オンエアの時間枠が?

稲村 そうそう。音楽としてやる上で、TVサイズでひとつの曲として成り立ってないと良くないなと思ってたんですよ。でも、僕は90秒やと思ってて。「これでみんなワクワクZENKAIだ!」と思ってレコーディング2日前ぐらいまで用意して。その時にようやく、今までエンディングをやってきたバンドの曲を「みんなどないしとるんかな?」って思って聴いてみると――みんな59秒なんですよ(笑)。

下上 誰もそんなことまったく気にせず(笑)。で、「実は59秒だった」っていうメールが夜中に来て。

稲村 スタジオ入って、「普段やったらここ8小節にするなあ」っていうところを1小節だけにしたりとか。単純に圧縮するにしても、BPMが1.5倍になったらわけわからなくなるじゃないですか。

下上 一回その案も出たよな。

稲村 一瞬な(笑)。で、「ほんならもう、展開をガラッと変えてみよう」って。8小節で土壌を作って「はい来ました!」みたいな見せ方じゃなくて、ずーっとアクセルを踏んでるみたいな感じって、逆に面白いなって思ったんですよ。でも僕、最初にその1分尺のバージョンができた時、その形が気持ち悪すぎて――「いやいや、ここはもう一回行きたいやん? 歌詞一回しか歌われへんやん?」みたいなのがあったんですけど。それを一回寝かしてから、1日置いて客観的に聴けるようになってみたら、「おもろいな」「何じゃこれ?」って(笑)。それが逆に心に残るやろうって思ったんですよね。

下上 その勘違いがなければ、そうはならなかったと思うし。

稲村 うん。なんか「アルカラらしいなあ」って言われるであろう曲になってたと思うんですけど。そのおかげがあって、『ドラゴンボール』みたいなしっちゃかめっちゃかな曲ができたなあっていうのと……それを表題曲として出すアルカラって自由だなって思うところで(笑)。僕らも、「アルカラってこういうもんよね」っていうのがないバンドでいたいし。でも、今回『ドラゴンボール超』の時は、「アルカラっぽい曲をお願いします」って言われて、「それがないバンドに言われてもなあ」っていうのはあったんですけど(笑)。まあ、僕らはもともとテーマ性があったり、「こういうジャンルで、こういう音楽でやろうや」って組んだバンドじゃなかったので、別に何でもよかったんですよ。楽しくてカッコよければ何でもやろうや、みたいな。

「ちゃんと『こういうジャンル』っていうのを決めなさい」というのは言われてたんですけど、ひとつに決めようなんて思ってない

稲村 一応、僕はJ-POPやと思ってるんですけど、結成していろいろツアーとか行ったら、だいたいハードコアに当てられてたよな?

下上 ああ、ハードコアバンドとの対バンね(笑)。

稲村 ハードコアとミクスチャー、ヘヴィロック、パンク……そん中でいっつも僕ら、「今日のミスチル担当してますー」とか言いながらやってたんですけど(笑)。逆にその、邦ロックのバンドと一緒にやると、「うるさいバンドやな」って思われるし。その時からいろんな方に「何がしたいかわからへん」とか、「ちゃんと『こういうジャンルのバンドです』っていうのを決めなさい」とか――「何でもやりたいことやったらええんちゃうぞ」っていうのはすごく言われてたんですけど。でも、これがやりたいことやし、ひとつに決めようなんて思ってやってないし。今さら10曲20曲書いとる中で、全部やり直さなあかんのかい!みたいな話で、全然無視してたんですけど。

――はははは。はい。

稲村 でもその時に、僕の同年代の子らが早めに有名になっていったりとか、もともと一緒にバンドやってた子らが解散した後に組んだバンドが、1年後にメジャーデビューしたとか、そういうのも垣間見ながらやってたバンドやったんで。「じゃあ、あいつらがこうやってやってるものに対して、同じことをやったって面白くないな」っていうのがあった上で、「僕らはそれ以外をやろう」って、隙間を見ていってたら、今みたいになったっていうか。それを続けていく中で、そのスタイルは今でも――ちょっとステージが大きくなったり、COUNTDOWN JAPANに出たりしても、そういうバンドでいたいなって。だから……アルカラは「ようわからんけど、観に行ったらおもろい」みたいな。二番目の彼女、二番目の彼氏みたいな?(笑)。本命じゃないけど――。

下上 浮気相手の一番上ってこと?

稲村 浮気じゃない。二番目やで。あくまで自分の心の中に留めとく感じの――。

下上 ああ、人にはあんまり言わへんっていう。

稲村 言わへん。「実はちょっと気になってるなあ」ぐらいの。

下上 友達とかと会ったらちょっと気まずいみたいな。「これはほんまの私じゃない!」。

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