活動休止から、
バンドの覚醒・進化に至るまでの道のりを
紐解く4回連載!

活動休止から、バンドの
覚醒・進化に至るまでの
道のりを紐解く4回連載!

今年1月の配信シングル"Wait?"、4月の移籍第1弾シングル『RAINBOW』の時点ですでに進化と革新の予兆はあったが、前作『Re:UNION』から約3年ぶりとなるLEGO BIG MORLの4thアルバム『NEW WORLD』は、何よりその楽曲とサウンドがバンドの新章突入を雄弁に物語る名盤だ。フレーズのループを多用した洋楽ロック的なソングライティング。極限まで削ぎ落とした楽器音が編み上げる、どこまでもクリアなサウンドスケープ。そして、そんなアンサンブルの変化とともに、より豊潤さと浸透力を増したカナタタケヒロ(Vo・G)のヴォーカル……飛び道具的な要素を取り入れたり、これまでとまったく別の方向性を目指したりするのではなく、自分たちが持っていた武器を極限までブラッシュアップすることで「最新型」に生まれ変わったレゴ。湖が澄んで透明になった結果、吸い込まれるようなその深さがくっきり見えるようになった――とでも例えるべき驚きと感激を、今作の音像は確かに与えてくれる。昨年2月、タナカヒロキ(G)の不慮の事故から活動休止状態を余儀なくされたレゴは、いかにして自らを「NEW WORLD」へと導いたのか? 4人が新たな覚醒に至った足跡に、全員インタヴューと、アルバム全12曲から毎週1曲ずつ公開のティザー映像による、4回連載で迫る!

(インタヴュー=高橋智樹)

──アルバム『NEW WORLD』完成までの流れを、順を追って伺っていきたいんですけども。去年の2月にタナカさんがバイク事故で右手を負傷して、バンドの活動がストップするわけですよね。

タナカヒロキ(G) その次の日がライヴだったんですけど……事故現場に、救急車より先に(帰り道が一緒の)シンタロウが通りかかって、僕は自分の身体の状態がわかってなかったので、「明日のライヴどうしようか」っていう話をしたんです。でも「いや、それどころじゃないから、とりあえず運んでもらえ」っていうことで、ICUに入って。そこで3人と会って「すまん」っていう話をして。その待合室で、たぶん3人は、「その先どうしよう」って相談してたと思うんですけど。

ヤマモトシンタロウ(B) まず「明日のライヴどうしよう?」っていう話をして──。

カナタタケヒロ(Vo・G) 「100%無理やん!」って。

アサカワヒロ(Dr) 「絶対でけへんやろ!」って。4人は無理やなって。

ヤマモト 結果的に「3人でやろう」っていう選択肢を選んで。「やりません」って言うことは簡単なんですけど、いろんな人に迷惑かけるし。3人でできる限りのことをやろう、っていうか「むしろ3人でやったろやないか!」って、ICUの前でセットリストを考えて、次の日ライヴをやって。ヒロキの状況を窺いつつ、その後も地方のライヴが結構決まっていたので。「これからどうしよう」っていうよりも、「目の前のライヴを3人でいかに最高のものにしていくか」っていう状態やったので。それが終わった後で──ヒロキもその時点ではいつ治るかわからなかったので、そこで初めて「次はどうしようか」っていう話になったんです。

カナタ その頃はとにかく「今までのままでは満足できん」っていう時期やったので。何か新しいレゴを見つけたい、っていう気持ちばっかりだったので。そういうタイミングでヒロキが事故に遭って……結果的に、見つめ直すというか、もっと自分たちのことを考えられた1年間になったんですよね。

──その後、予定していたツアーはキャンセルになって。そんな中、ヤマモトさんが新たにトラック作りを始めていったわけですよね。

ヤマモト そうですね。「フレーズ力」だったり「ループ感」だったり、やんわりとしたキーワードは出てきてたんですけど、それをレゴに取り入れてどうなるんかっていうのは、音を出してなかったのでわからなかったんですね。それまでは、4人でスタジオに入って曲作りをするみたいなスタイルだったんですけど、それが実際できひんっていう。でも、自分はひとりでも何かを提示していこうと思って。プロトゥールスで作ってみたものをキンタ(カナタ)に聴かしたら、その場でノリで歌ってくれて。それがすごく良かったんですよね。「これはもしかしたら新しいんじゃないかな」って。「次をどうするか」っていうことももちろんあったんですけど、その時はそういう曲作りが新鮮で、楽しくて。しかも、いい化学変化を起こしてるなって思ったので、「とりあえずこのやり方で続けてみよう」っていう。

──最初に作業を始めていったのはどの曲ですか?

ヤマモト 最終的に形は変わりましたけど、最初に始めたのは"絶望(は希望よりも美しい)""Hybrid"あたりですね。この時期はほんまに、自分が今まで培ってきた中でカッコいいと思うテーマ的なものを軸に、曲を構築していって、それを最終的にキンタと作り上げていく感じでしたね。

タナカ 僕も入院中にデモを聴いたんですけど、作り方を変えてること自体が新鮮でしたし、こんなにイメージが一発でちゃんと伝わるデモっていうのがほぼ初めてぐらいの感じだったので、いちリスナーの耳でびっくりして。状況的に、僕も落ちてた時期やったっていうのもあるし、「どうしよう」っていう中での、「こういうの作ってるから」っていうメンバーからの意思表示やったんで。僕も迷いから抜けた感はありましたね。「今はギターを弾けない代わりに、今しか感じられない言葉を溜めておこう」って。

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