ラックライフ 祝・メジャーデビュー!
いざ、ライヴハウスとお茶の間を繋ぐ戦いの日々へ

ラックライフ

約10年間にわたって活動を繰り広げてきたラックライフが、シングル『名前を呼ぶよ』で、ついにメジャーデビューする。所属するレコード会社は、アニメ関連の音楽を数多くリリースしているランティス。今作のタイトル曲“名前を呼ぶよ”もアニメのエンディングテーマとして制作された。アニメソングをロックバンドが手がけることは特に珍しいことではないが、彼らの場合はライヴハウスシーンとは大きく異なるフィールドのど真ん中へと積極的に飛び込み、可能性を全力で模索しようとしているのが興味深い。ラックライフは今、どのような思いを胸に抱いているのか? PON(Vo・G)に大いに語ってもらった。

インタヴュー=田中大

お店に入ったらAKB48の曲が流れていて、小っちゃい女の子が歌いながら踊っていたことがあって。それを見て「これになりたいな」と思ったんです

――メジャーデビューなんですね。

「はい。事務所からまず『タイアップの話が来たよ』と言われて、『やったー!』と思っていたら、『これを機にメジャーデビューしましょう』と。それでもう一度『やったー!』(笑)。メジャーデビュー自体、もともと夢だったので嬉しかったです」

──所属するレコード会社がランティスですけど、アニメ関連の作品を数多くリリースしているじゃないですか。そこからライヴハウスで叩き上げられたラックライフがメジャーデビューするって、興味深いところだなと。

「最初は『畑違いなのかな?』という異色な組み合わせに対する不安もあったんですけど(笑)。でも、自分たちがブレへんかったら大丈夫なのかなと。いろんな人に聴いてもらえる方がいいし、自分たちが信念を持ってやっていれば届く人には届くと思うので」

──ロックバンドがアニメソングをやったり、アイドルに楽曲提供をしたり。あるいは他ジャンルのアーティストとコラボするとかも珍しくなくなってきているじゃないですか。リスナーもジャンルを意識することなく、「好きな音楽」としていろいろ聴くようになっていると思いますし。そういう状況の中、ラックライフのこういうメジャーデビューも自然なことなんでしょうね。

「そうかもしれないですね。僕らも特にジャンルとかを気にすることなくやっていますので。お店に入った時にAKB48の曲が流れていて、小っちゃい女の子が歌いながら踊っていたことがあったんです。それを見た時に『これになりたいな』と思ったんですよね。ラックライフはロックバンドですけど、世代を問わずにいろんなところで愛される音楽になりたいです」

──PONさん、J-POPが大好きですもんね。

「めっちゃ好きです。J-POPを聴いて育ってきましたので。ジャニーズも大好きですし」

何を歌っているか分かって、誰にでも当てはまる。そういう音楽をずっとやってきました。キャッチーは正義やと思っています(笑)

──アニソンは、去年の“変わらない空”(テレビアニメ『純情ロマンチカ3』エンディング主題歌)が初めてだったんですっけ?

「はい。作ってみたらすごく面白くて。挑戦がいろいろあったんです。89秒に1コーラスを収めるとか、最初は『無理やん』って思っていたんですけど。でも、足し算引き算を繰り返しながら作っていったら面白くて。あと、原作を読んでピックアップしたものを反映するっていうのも楽しかったです。普段、自分がやっている曲作りでは出会えへんテーマとかイメージが出てきたりするんですよ」

──アニソンのファンにも自分たちの音楽を積極的に届けたいという気持ちはあります?

「あります。アニメファンの人たちがライヴハウスに来るきっかけにもなったらいいなと思っていますので。去年出した“変わらない空”でガラリとライヴの客層が変わったわけではないんですけど、『アニメ観て来ました』という人たちがちらほらいたのが嬉しかったんです。Ustreamをやったら海外からコメントが来たこともありましたし。『マレーシアで観てます』というような。アニソンをやったことによって、『こういう届け方もあるんや』と気づかされました。ライヴハウスは目の前にいる人たちが全てやし、そこに届けることが全てなんですけど、それ以外にもアプローチの仕方があるんやなと。あと、ラックライフは『分かりやすさ』がモットー。誰にでも分かりやすくて誰にでも分かることを歌っているバンドなので、アニメの曲でもそこを活かせているのかなと。分かりやすくて、キャッチーで、何を歌っているか分かって、誰にでも当てはまる。そういう音楽をずっとやってきました。キャッチーは正義やと思っています(笑)」

──(笑)「キャッチーは正義」「分かりやすさがモットー」っていいですね。

「大変ではありますよ。自分が納得するものを作るのも大変やし、メンバーを納得させるのも大変ですから。いつもハードルをたくさん越えながら作っています。『言葉とメロがちゃんとハマって、バシッと響くフレーズがある』っていうのがないとダメだというのは、いつも心がけているところです」

──つまり、軸にあるキャッチーさに、ライヴハウス育ちのバンドらしいアグレッシヴなサウンドがちゃんと加わっているのがラックライフ?

「そうかもしれないですね。ライヴハウスの周りの先輩のバンドとかを見て、いろいろな刺激を受けながらやってきたバンドでもありますから。アニメとかのきっかけを通じて、ライヴハウスにひとりでも多くの人が遊びに来たらいいですね。そうなればどんどんみんなの人生が変わっていくと思うんですよ。僕自身もライヴハウスに行くようになって、めちゃめちゃ人生が変わりましたから」

──どんなきっかけがあったんですか?

「僕はバンドは全然聴いたことがなくて、CHEMISTRY、EXILE、ジャニーズとかを聴いて育っていたんです。でも、高校1年生の時に軽音部の部室で先輩のバンドを観て『すげえ!』ってなってライヴハウスに行くようになり、バンドを自分でも始めちゃったんですよね。だからみんなもどんどん人生が狂えばいいのにと思っています(笑)」

──(笑)まあ「狂う」って言うと語弊がありそうですけど、PONさんの場合は人生がより楽しい方向に変化したわけですね?

「はい。ライヴハウスにも通いまくりましたし。マンスリースケジュールを見ながらバイトのシフトを決めたりもして。ライヴハウスでいろんな音楽や友だちに出会えました。だからそういう人たちがたくさん増えて欲しいですよね」

──より幅広い層に音楽を届けられるというのがメジャーデビューによる変化のひとつだと思いますけど、バンド自身には何か変化はあります?

「全くないんですよ(笑)。この前、『メジャーデビューってなんやろか?』って改めてメンバーと考えたんです。でも、結局、自分たちができるのは、よりいい曲を作ってライヴをするっていうことなのかなと。だから根本は変わらないです」

──メジャーデビューとは創作面に根本的な変化を及ぼすことではなく、今我々がいるような「座り心地のいいソファがある部屋で取材ができる」っていうようなことなんですかね?

「そんなようなことです(笑)。携わってくださる人がたくさん増えるっていうのはありますけど、それも結局は人と人同士のことじゃないですか。そこは昔から変わらず大事なことですし、これからもそうなんです。最近も楽しくキャッキャッとやらせて頂いておりますよ。今後、バンドのやりたいことができなくなる状況がもし出てきたとしたら、みなさんに報告をします(笑)」

──(笑)スタッフとの掴み合いとか起こるんですかね?

「ないことを祈っています(笑)。今、すごく僕らを信じてくれている人たちがたくさんいるので、逆に『やらねば! ラックライフを自分たちでちゃんと育てていかねばあかんな』という気持ちになっていますよ。僕ら、もう若手ではなくってきているところもあるので、どんどんやらねば。永遠の若手ではいたいんですけど。でも……メジャーデビューだから、改めて新人なのかな?」

──一応そういうことにはなります。

「じゃあ、結成10年ってことは隠して、新人としてしばらくやっていきます(笑)」

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