11月13日にキャリア初のベスト・アルバム『ダイレクト・ヒッツ』をリリースするザ・キラーズは、今年デビュー10周年を迎えた。デビュー・アルバム『ホット・ファス』から最新作『バトル・ボーン』まで、それぞれの時代のナンバーがバランスよく収録された『ダイレクト・ヒッツ』を聴くと、直近10年のポップ・ミュージック・シーンにおいてキラーズがいかに破格の成功を収めてきた稀有の存在であるかが改めて確認できるはずだ。

※『【後編】今年10月来日時のロニー・ヴァヌッチィのインタヴューを全文掲載』はこちら

『ホット・ファス』(2004)
UICL-1045

1. Jenny Was A Friend Of Mine
2. Mr. Brightside
3. Smile Like You Mean It
4. Somebody Told Me
5. All These Things That I've Done
6. Andy, You're A Star
7. On Top
8. Change Your Mind
9. Believe Me Natalie
10. Midnight Show
11. Everything Will Be Alright
12. Glamorous Indie Rock and Roll
13. The Ballad of Michael Valentine
14. Under the Gun

ザ・キラーズは2001年にブランドン・フラワーズ(Vo&Key)、デイヴィッド・キューニング(G)、マーク・ストーマー(B)、ロニー・ヴァヌッチィ(Dr)の4人によって結成された。2003年にファースト・シングルの"Mr Brightside"をリリースした彼らは、今思えば本国アメリカより先にイギリスで人気に火が付いたバンドだった。2003年と言えばモノトーンなガレージ・リヴァイヴァルからよりカラフルでポップなニューウェイヴ、ポスト・パンク・リヴァイヴァルへと時代のトレンドが移り変わろうとしていた時期で、ラスヴェガス出身であることを全面に押し出し、シビアなショウビズ精神を宿したシンセ・ポップを鳴らして登場したキラーズは、まさにそんな時代の空気を体現するニューカマーだった。そんな彼らがニューウェイヴ・リヴァイヴァルの震源地だったイギリスで先にブレイクしたのも納得のいく話だろう。"Somebody Told Me"、"All These Things That I've Done"、"Smile Like You Mean It"といったキラー・チューンをコンパイルしたデビュー・アルバム『ホット・ファス』(2004)は全英初登場1位を記録し、以降キラーズはすべてのアルバムで全英1位を獲得するという驚異的な記録を更新し続けている。

MOVIE

Mr. Brightside

Somebody Told Me


All These Things That I've Done

Smile Like You Mean It


MOVIE

Mr. Brightside


Somebody Told Me


All These Things That I've Done


Smile Like You Mean It


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『サムズ・タウン』(2006)
UICL-1062

1. Sam's Town
2. Enterlude
3. When You Were Young
4. Bling (Confession of a King)
5. For Reasons Unknown
6. Read My Mind
7. Uncle Jonny
8. Bones
9. My List
10. This River Is Wild
11. Why Do I Keep Counting?
12. Exitlude
13. Where the White Boys Dance
14. All the Pretty Faces

しかし、キラーズの本領、真価が発揮されたのはむしろ彼らがニューウェイヴ・リヴァイヴァル・ブームの波から「降りた」後だったと言える。2006年のセカンド・アルバム『サムズ・タウン』は、煌びやかなネオン・カラーを纏った洒脱なシンセ・ポップのイメージから一転、ブルース・スプリングスティーンやU2からの影響を多分に受け、マスキュリンでブルージーなアメリカン・ロックを鳴らすバンドへと大変貌を遂げたアルバムとなった。「『ホット・ファス』がファンタジーだとしたら『サムズ・タウン』はリアリティのアルバムだ」とブランドンが語ったように、『サムズ・タウン』はブランドンの家族の歴史に端を発したパーソナルなアルバムでもあり、シングルの“When You Were Young”を筆頭にサウンドだけでなく歌詞もシンプルかつ写実的な力強さに満ちた作品になった。本作は全米ビルボード・チャートで初登場2位を記録し、マディソン・スクウェア・ガーデンで初の単独公演を行い、また翌2007年には英グラストンベリー・フェスティヴァルで初のヘッドライナーも務めるなど、一気に世界的トップ・バンドへと上り詰めていくことになった。東京で撮影された“Read My Mind”や一貫してモノクロで撮影された“For Reasons Unknown”など、傑作ミュージック・ビデオが多いのも『サムズ・タウン』期のナンバーの特徴だ。また2007年11月には先頃亡くなったルー・リードをフィーチャーしたトラック“Tranquilize”を収録したコンピレーション・アルバム『ソーダスト』をリリースしている。

MOVIE

When You Were Young

Read My Mind


For Reasons Unknown


MOVIE

When You Were Young


Read My Mind


For Reasons Unknown


『ソーダスト』(2007)
UICL-1073

1. Tranquilize
2. Shadowplay
3. All The Pretty Faces
4. Leave The Bourbon On The Shelf
5. Sweet Talk
6. Under The Gun
7. Where The White Boys Dance
8. Show You How
9. Move Away
10. Glamorous Indie Rock and Roll
11. Who Let You Go?
12. The Ballad of Michael Valentine
13. Ruby, Don't Take Your Love To Town
14. Daddy's Eyes
15. Sam's Town (Abbey Road Version)
16. Romeo and Juliet
17. Mr. Brightside (Jacques Lu Cont's Thin White Duke Remix)


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