色彩豊かな轟音を操るスリーピース・Cö shu Nie。新進気鋭の要注目バンド、その実態に迫る!

色彩豊かな轟音を操るスリーピース・Cö shu Nie。新進気鋭の要注目バンド、その実態に迫る!

「どういうバンドになりたい」というよりかは、「作った曲をバンドで表現したい」っていうところで活動を始めました(中村)


――以前、RO69JACK(現:RO JACK)に応募されていた時の“迷路”という曲が僕はすごく好きで。

中村未来(Vo・G・Key・Manipulator) ああ、ありがとうございます。

――あの曲はもっとシガー・ロス的な静寂と轟音というか、今とは違う感じのサウンドの方向性だったと思うんですけども。そもそもCö shu Nieというバンドを始めた時の「こういうバンドをやろう」っていうコンセプトはどういうものだったんですか?

中村 曲を日常的にずっと書いていて……「どういうバンドになりたい」というよりかは、「それをバンドで表現したい」っていうところで活動を始めました。

――“asphyxia”(窒息、呼吸困難の意)というタイトルは、『東京喰種トーキョーグール』原作者の石田スイ先生がつけてくださったそうですけども。“迷路”にも《やり直せない過去も致死量の酸素も不要》というフレーズがあって、まさに世界観の面では現在まで通じるものがあったと思うんです。あのRO69JACKの頃って、まだ結成して間もない頃ですよね?

中村 そうですね、1年は経ってないです。本当に「できた曲に導かれて」っていう感じでしたし……“迷路”も、曲っていうものを書き始めてそんなにまだ、10曲も書いたことのないような時の曲だったんで。ああいうふうに選んでもらえて嬉しかったですね。

――そういう世界観の明確な曲を、バンドメンバーとして表現していくのは、最初からハードルが結構高かったんじゃないですか?

松本駿介(B) そう……ですけど、ほぼほぼリズムパターンだったりギターフレーズだったりは、全部この「監督」が――(中村を)監督って呼んでるんですけど――。

中村 (笑)。

松本 監督の頭の中にほぼできあがってて、それを当時メンバーだったギターに再現してもらうというか。ベースに関しては結構フリーにやらせてもらってたんですけど、好きなようにやって、それがOKになるっていう――ちょうど呼応してたというか、感性がぴったり合ってたんで。曲のアレンジとかで「困ったなあ」っていう思い出はないなあ……。でも、昔の曲と今の感じで違うのは、シーケンスが入ってるか/入ってないかの違いもあって。

中村 そのあとから打ち込みを始めたんですよね。あの頃は打ち込みをやってなくて、録るくらいしかやってなかったんですけど。いろいろプラグインとかも買いだしたら、楽しくなっちゃって(笑)。

松本 音楽をやってるから、やっぱり理想というか、「こういう曲をやりたいな」っていうのはあるじゃないですか。でも、自分でそれを作り出すって難しいじゃないですか。頭の中でもやもやしてる「誰かがやってくれたら嬉しいのにな」っていうものを、全部叶えてくれたっていうか。別に伝えてないんですけど、「これこれ!」っていうものを監督が出してくれてたんで。

――なるほどね。中村さんの作る楽曲を演奏することが、松本さん自身の表現にもなっていると。

松本 そうですね。嬉しい話なんですけど、ちょうど自分のやりたいことと一致してるんで。誰も口には出さないですけど、鳴るべき音が決まってて。「正解はこうなんだろうな」「この曲を表現するにあたって、アレンジはこういうことにしていかないといけないんだろうな」って、ある程度イメージの中で表現できるし。今の自分のやりたいことと、最新の曲がぴったり合うんですよね、不思議な話なんですけど。手に入れた新しい技とか、「よっしゃ! 掴んだぜ!」って思ったやつを、ちょうど最新曲で表現できるアレンジになってるというか――言ってないのにな? ドラムもそうだよな?

藤田亮介(Dr) うん、そうですね。

松本 たぶんその辺も全部――全知全能の神なんで。

中村 うわぁ(笑)。

松本 だからこそ「監督」って昔から呼んでましたね。Cö shu Nieのすべてを牛耳る監督。

――(笑)。監督にとっては、そういうプレイヤーとしてのおふたりの成長は、表現できることのカードが増えていくような感覚で見ているんですか?

中村 そうですね。ずーっと見てます、そればっかり見てます、私。めっちゃ好きなんですよ、ふたりのプレイが。だからもう、1音も逃さないようにと思って……無理して1小節だけできるけどめっちゃかっこいいフレーズとかやってると、「いいなあ」と思って、そっと録音して(笑)。

松本 自分で勝手に練習してるやつとかも、ちゃんと見てくれてたりするんですよね。


監督がすごいなあと思うのは……1曲に対して「惜しげもない」んですよね(松本)


――藤田さんは途中加入ですけども。正式加入は――。

藤田 2018年の1月ですね。

中村 その前からずっとサポートでやってくれてて、ほぼメンバーみたいな感じでしたね。

藤田 僕も、ジャンルで言うと全然違うところにいたんですけど。当初から「なんだこの人は!」っていうのはあったんで――この全知全能の神は(笑)。やっぱり、自分がまだメンバーじゃなかった時も、自分らしさを表現できるようなバンドだったんで。だんだんこう、「Cö shu Nieおもしろいな」ってすごく好きになっていって。僕が別で仕事をしてたり、なかなかバンドっていうものに入る決心がつきにくい部分もあったんですよね。でも、それ以上に「Cö shu Nieの音楽が好き」っていうのが勝って。いい決断だったのかなあって思いますね。

中村 で、入ったら猪突猛進で。性格なんでしょうね、すごく真面目で、しっかりしてて――必要な人材ですね、完全に(笑)。非の打ち所がないです。私が打ち込みである程度の形は作るんですけど、それじゃあ不完全で。やっぱりこの、楽器を極めし者たちに――。

松本・藤田 (笑)。

中村 それぞれのパートを任せたら、細かいから余計にシビアになっていって。最終的には、私が上物のパートとかを考えているような時に、ふたりで話し合って、合わせていってくれるっていう。まさに繊細でカオスっていうイメージですね。

――監督の要求するハードルは日々上がってたりするんですか?

松本 (笑)そうかもしれないですね。すごいなあと思うのは……1曲に対して「惜しげもない」んですよね。たとえば、“絶体絶命”とかはベースのイントロから始まるんですけど、あのフレーズをイントロの1回しか使わないっていう(笑)。結構、印象的なフレーズを――効果的なやつはリフレインすることもあるんですけど、「え、これで1曲作れるじゃん!」みたいなフレーズを、1曲の1部分に「重要やから」って言って惜しげもなく使うのはすごいなあと思うし。それをやっても、永遠に新しい曲ができあがって、どんどんスピード感も――1曲に何週間とか何ヶ月とかかからずに、どんどん生まれてくる、っていうのがすごいなあって思いますね。

中村 でも……出し切ったら、次出てきません? 出しきらずに、中途半端に置いてると、それが自分の中で旬じゃなくなったり、「違うな」ってなるから。形にしてしまいたい。そしたら、次が出てくるから。

――ご本人の語り口はすごく穏やかなんですけど、音楽的にはものすごく生き急いでますよね。

中村 もっともっと先に行きたい、っていう気持ちが……生き急いでるかもしれない(笑)。自分の中で、同じことをやるのがすごく飽きちゃうので。だから、ずっと探して、ずっと研ぎ澄まして、新しいものをやっていきたいなっていう気持ちはありますね。もちろん、普遍的なものも素晴らしいんですけど……性格の問題ですね(笑)。

――そんなCö shu Nieの音楽が、石田スイ先生ご本人からのリクエストで『東京喰種トーキョーグール:re』のオープニングテーマになったわけですけども。石田先生は最初どこでCö shu Nieの曲を聴かれたんでしょうか?

中村 最初はYouTubeで聴いて、CDを買ってくださって。で、それをSNSに上げてらして、フォローもしてくださってて。私がその時期、結構いろいろ動画を上げてたんで、短い曲とか。そういうのも「いいね」してくださったりとか。で、ある時『週刊ヤングジャンプ』の編集部の方から「ちょっと会合しませんか?」みたいな話があって。それこそ「なんか刺激になったらいいな」ぐらいの気持ちで行ったら――スイ先生もいらっしゃってて、急にスイ先生が「オープニング曲をお願いしたいんですけど」って(笑)。

――自分以外の、『東京喰種トーキョーグール』っていう作品の世界観がある中で、それを完全に取り入れるまではいかなくても、ある程度作品と共鳴する形で楽曲を作っていくっていう体験はいかがでした?

中村 楽しかったですね。でも、スイさんが選んでくださったっていうことは、意味が、理由があったんだなって思いました。ほんと、“asphyxia”は自分の曲なんですよ。えぐりすぎて、弾いたら痛くなるような……そういう曲がアニメとぴったりハマってて、いろんな登場人物とリンクしてて。曲作りの時には『東京喰種トーキョーグール』の話は一切なかったし。そういうことじゃなくて、根本的なこととか、向き合うこととか……そういう話ばっかりだったんで。それでできあがったものが、作品とマッチして受け入れられた、っていうのは、やっぱり特別な体験でした。

――ある意味、Cö shu Nieがやってきたことが認められた――というか「間違ってなかった」っていうことが確認できた出来事だったのかもしれないですね。

中村 そうですね。RO69JACKのようなコンテストとかで選んでもらったりすることが何度かあったんですけど、そこから先につながるようなことがなくて。「音楽業界の人たちと縁がないんだな」っていうのが、悲しいですけどあったんで。まさかそういう切り口から、私たちをフックアップしてもらえるような出来事が起こるとは……っていう感じですね。

次のページちょっと感覚が違うんですよね。まず曲全体を理解しないと演奏できないというか(藤田)
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