電波少女、粋な皮肉をきかせて、悶々とした心情を浮き彫りにした最新作『Q』メンバー全員インタビュー

電波少女、粋な皮肉をきかせて、悶々とした心情を浮き彫りにした最新作『Q』メンバー全員インタビュー

(電波少女は)ネガティブというか、皮肉っぽい言い回しが面白いんです。綺麗事ではない本心、本音っていうものを、昔から感じていました(NIHA-C)


――電波少女の表現に関して、何か変化してきているものは感じています?

ハシシ(MC) 昔だったらただネガティブな不満をぶちまけて終わりっていうことが多かったんですけど、最近は「そこからどうしてこう? どう折り合いをつけよう?」っていうところが出てきてます。

nicecream(ボタンを押す係兼パフォーマー) 音とか歌詞の部分に関しては、ただトゲを放って終わるんじゃなくなってるところは、あると思います。今回のEPも、音的な部分では結構優しいですし。

ハシシ 今回、コンセプトとかはなかったので、音に関してそうなったのは無意識でしたけどね。数あるトラックからセレクトしたものが、自然とそうなったんです。

――今作のリリックに関しては、何か話していたことはありました?

NIHA-C(MC) 作りながらハシシさんとよく言ってたのは、「リリックの内容が嘘にならないようにする」っていうことでした。あんま大げさにならないように書くとか、思ってないようなことは書かないっていうのは、作りながら注意してたことです。

nicecream 電波少女はパフォーマンスでネガティブをやってると思われがちなんですけど、単純に素直だからこうなってるだけなんです。だからどういう状況になったとしても、その時の自分たちから見えるものを描くんでしょうね。

――去年の3月に加入したNIHA-Cさんは、外から電波少女を見ていた期間が長いわけですけど、このグループならではのものって何だと思いますか?

NIHA-C ネガティブというか、皮肉っぽい言い回しが面白いんです。綺麗事ではない本心、本音っていうものを、昔から感じていました。そういうのは、自分も普段感じてるようなことでもありましたね。

――例えば、今作の1曲目の“GXXD MEDICINE”は、僕もリアルなものを感じました。危険なものに溺れて依存していく人のことを描いていますよね?

ハシシ はい。違法というよりも合法なものなんですけど、そういうものを悪用したりする人が周りにいるので。やらないと心が折れちゃいそうで、生きるためにやってるっていう意見もわかるんですけど、理解できない側としての発言というか。「無力感」みたいなものがあったので、そういうことを1ミリでも出して、何かが変わればいいなと思って。

――おっしゃる通り、この曲の核にあるのは「無力感」ですね。依存を全否定するのではなくて、生きるためにすがっていることを理解しつつも、放っておくことはできなくて、でも、どうしたらいいのかよくわからない……っていう出口のない感覚が伝わってくる曲として受け止めました。

NIHA-C 結局、何かができるわけではないというのが、わりとキーワードでした。こういうのは最終的には専門家に相談するしかないことなので。自分たちに大したことができるわけではないという悔しさみたいなところはあります。

――温かいトーンの音と、描いている内容のコントラストがやるせなさを醸し出している曲でもありますね。

ハシシ 爽やかめで歌った方が切なさが増すというスケベな気持ちもあるんですけど、基本、暗いテーマを暗い曲で歌いたくないというのはあるんです。

なんとなく気持ちの中にあるんだけど、言葉にするほどでもないのかなっていうことを結構思いっきり言うっていうのは、昔からの電波少女の歌詞の特徴なんですよね(nicecream)


――今作は、全体的にそういうものがあると思います。曲調はざっくり言うと明るいですけど、伝わってくるものはかなり翳を含んでいますから。

ハシシ そうなんです。軽めなことを歌ってる印象を持たれてるんですけど(笑)。だから歌詞に注目して欲しいですね。

――軽そうな衣をまといつつ、核の部分に翳があるっていうのは、僕が感じている電波少女の姿でもあるんですが、そこって案外伝わっていないんですか?

ハシシ ライブに来てくれたりする人たちには伝わってる手応えはあるんですけど、それ以外の「名前は知ってる」とかいうような人たちの中では「ポップだよね」という感じなんだと思います。ポップが悪いとかいうことじゃなくて、「ポップ」ってどちらかというと「軽い」という捉え方でもあるし、そういう印象になってるのは感じてます。

――「電波少女」っていう名前が、その印象を醸し出している面もあるんだと思います。

ハシシ そうなんです。コミック感もありますし。

NIHA-C たしかに(笑)。

ハシシ フェスっぽいものに出させもらうと、アイドルグループを期待してたらしき人たちが、ライブが始まった瞬間にハケてくのが見えることがあるんですよ。

nicecream 女の子のグループだと思われることは多いです(笑)。

ハシシ でも、そういう損してる感じも悪くはないとも思ってるんです。ちゃんと伝わった時に、いろんなニュアンスが伝わるのかなというのもあるので。

NIHA-C 僕が最初に電波少女を聴いたのはインターネットでやってた時期なので、そんなに違和感はなかったですけどね。ネットは名前が適当な人が多かったし。でも、曲を聴いたら全部男の声だから、「ああ、男か……」というのはありました(笑)。

――(笑)真っ直ぐに向き合ってもらえれば、真意がしっかり伝わるはずですけどね。例えば“忌々 -yuyu-”や“ローリングストーン”とかも、鬱屈したものを抱えている人間のギリギリな状態から絞り出される生命力みたいなものが伝わってくる曲じゃないですか。

ハシシ その通りです。

――電波少女の音楽は、なかなかうまく言葉にできないモヤモヤを可視化しているところが、すごくあると思います。

ハシシ そこは課題ではあります。「自分が思ってる何とも言えない気持ち、見てる場面をちゃんと言葉にできるか?」っていうのはあるので。

nicecream 僕は歌詞を書いてないですけど、聴くとすごくスカっとするというのは感じてます。なんとなく気持ちの中にあるんだけど、言葉にするほどでもないのかなっていうことを結構思いっきり言うっていうのは、昔からの電波少女の歌詞の特徴なんですよね。

ハシシ 「歌詞、ちゃんと刺さってるのかな?」って疑問に思うことはあるんですけどね。でも、同年代とか年上の人たちの「この歌詞いいなあ」っていうのをエゴサーチとかで見つけると、「よっしゃ!」ってなります。若い子が「このライン、わかるなあ」って書いてると「嘘つけ!」ってなるんですけど。

――素直に喜べばいいのに(笑)。

ハシシ まあ、当然ありがたいんですけど、「まだわかってないんだろうなあ」って。でも、その子が年齢を重ねてって、また曲を聴いた時に「今だからもっとわかるな」って思ってもらえると嬉しいですね。僕が好きだったアーティストも思春期に聴いても刺さったし、大人になってからももっと深みが出て「わかるなあ」ってものになってることが多々ありますから。だから若い子も、基本は愛してます(笑)。

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