再スタートを切った有安杏果が、いま音楽とライブにかける想いとは

再スタートを切った有安杏果が、いま音楽とライブにかける想いとは

ダンス曲を作りたいと思ったきっかけは、去年の夏くらいから町のダンススクールに通ってるから


――有安さんは以前は鼻歌で曲を作るなどなさっていましたが、最近はどのように進めてらっしゃいますか?

「今もだいたい最初のきっかけは、ふとした時に鼻歌で出てくる1フレーズですね。さすがに鼻歌だけで突っ走ることはなくなったので(笑)、それをきっかけにピアノを使って広げていくというか。作るぞ!と思って作れるタイプではないので、いつもだいたい外にいる時や電車に乗っている時にふっとフレーズが湧いてくるんです」

――えっ、電車お乗りになるんですか? タクシーとかではなく?

「全然乗りますよ!(笑)。大学もずっと電車で通ってました。自分はその時間がすごく好きなんですよね。いろんなイメージも湧いてくるし、人間観察もめちゃくちゃ面白いし(笑)。だからそういう瞬間に生まれた曲がすごく多いかな。でも夏のツアーで披露した“LAST SCENE”と“Do you know”というダンス曲は、こういう感じのこういう曲を作りたい!というイメージが最初からあったので、まずコードを決めて、そこにメロディを乗せてコードを調整していく……という作り方に初めて挑戦してみました」

――有安さんはキッズダンサーとして活動してらっしゃったけど、ソロでダンス曲は初めてですよね。

「うん、そうなんですよね。今までなんで作ってこなかったんだろう……? でもたぶん、今回そういうものが作りたいと思ったきっかけは、去年の夏くらいから町のダンススクールに通ってるからだと思うんですけど」

――えっ、町の!? 電車以上にびっくりですよ!

「趣味の一環としてと『太りたくない!』という気持ちから(笑)、いろんな世代の方々が集うダンススクールに通い始めたんです。もちろんふつうに更衣室で着替えてるんですけど、全然気付かれません(笑)。みんなめちゃくちゃダンスが上手で、その熱に感化されて作りました。BoAさんが昔から大好きで、憧れていて。その影響で、ちょっと大人っぽくてジャズっぽいものを目指していきましたね」

その時その時のテンションや見えるもの、感情がダイレクトに曲になっていく


――ということは、今の有安さんの表現全般として、生活のなかから生まれているものばかりなんですね。

「そういうものが多いかもしれない。今年の春にライブでお披露目した“虹む涙”はダンスレッスンに通う移動中にできた曲なんです(笑)」

――そうだったんですね。有安さんの書かれる歌詞は、ふだんなら気に留めない、見過ごしてしまうようなことを深く丁寧に綴っている印象があったので、日常が曲を導いているというのはとても腑に落ちます。

「たしかに、その時その時のテンションや見えるもの、感情がダイレクトに曲になっていく感覚はありますね。撮る写真も日常を切り取るものばかりだし、みんなが目にしているけれど、みんなの目には意外と留まっていないようなものを撮りたい気持ちがあって。表現方法が変わっても、表現するものは似ているのかな……」

――うんうん。「色鉛筆は大事な色からなくなっていく」という観点で書かれた“色えんぴつ”などは、その最たるものだと思っていたので。

「うれしい! その『色鉛筆は大事な色からなくなっていく』というメモは、中学生の時に祖父が亡くなって、その時にふと書き残したもので。それを見つけた時に『これを曲にできないかな?』と思って作ったのが“色えんぴつ”なんです」

――中学生でその感性は感服です。さて、有安さんはいまステージ上でどんな自分でいたいですか?

「えっ、なんだろう……! そうだなあ……。曲ごとにちゃんと切り替えるようにはしてるかな。いろんなタイプの曲があるので、気持ちをちゃんと作って1曲1曲の世界観を届けています。ただMCは素すぎるな……。素すぎて大丈夫かな?って心配になるレベル(笑)。クリックや同期を使っていないからこそのグルーヴや空気感は、ものすごく大事にしたいなと思っています。だからわたしひとりのライブ、ステージではなく、バンドさん、スタッフさん、お客さんみんなの呼吸でできあがるものだと思っているんですよね」

――お客さんの歓声でテンションが上がったりとか。

「うんうん。お客さんのクラップが速くなったらわたしも釣られて速くなるかもしれない。でもそういうなかでもバンドメンバーはちゃんとついてきてくれるんです。それもその日にしか生まれないライブ感だし。そういうものは大事にしていきたいし、ライブをやるたびにその大事さが強まっているなと思います」

――これだけ春と夏で工夫を凝らしているんですから、自然と来年の「サクライブ2020」には「もっとすごいものが見られるのでは?」と期待が高まっちゃいますね(笑)。

すごいプレッシャー!(笑)。今年の春ライブと夏のツアーで良かったものはもっと磨いて、新しいものも取り入れて、アップデートしたライブツアーにしたいですね。とにかくいろんなことに挑戦したいと思っています。

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