『食戟のソーマ 神ノ皿』ED主題歌“エンブレム”。刻まれているnano.RIPEの実像とは?

『食戟のソーマ 神ノ皿』ED主題歌“エンブレム”。刻まれているnano.RIPEの実像とは?

何かに向かっていく過程で捨てるものもありますけど、「最後に大切なものが残るのか?」って、本当にわからないんです


――“エンブレム”を作るにあたって、まず、どのようなことを考えました?

『食戟のソーマ』のエンディングテーマを歌わせていただくのは、今回で3回目なんですけど、今までの2曲はnano.RIPEの中でも攻めていて、ギターがジャキジャキ鳴っているタイプだったんです。でも、今回の先方からのご要望は、「アッパーよりもミディアムテンポ」だったんですよ。『食戟のソーマ』のストーリーも、かなり終盤に差し掛かってきたので、その雰囲気も表現したいと思いながら作った結果、ミディアムというのとはちょっと違った感じになりましたね。広がりがあって、未来への希望も感じられるようなメロディにしたかったと同時に、登場人物たちの気持ちも込めたいと思っていました。

――『食戟のソーマ』には、特別な思い入れもあるようですね?

はい。自分たちと重なるところもすごくあるなと感じている作品なんです。作るのが料理か音楽かっていう違いでしかないというか。だから“エンブレム”も(主人公の)創真の気持ちを描きつつ、自分の想いも描けました。

――何かに情熱を傾ける人の気持ちって、おそらく根本は通ずるものがあるんでしょうね。

そうなんだと思います。何かをつきつめる中で人間が抱く感情って、そんなに多くないのかもしれないです。何かに向かっていく過程で捨てるものもありますけど、「最後に大切なものが残るのか?」って、本当にわからないんですよね。「捨てるだけで終わるんじゃないか?」っていう不安ばかりが募るので。

――「あれは、捨てないほうがよかったんじゃないか?」って思ったり?

はい。あたし、断捨離が好きなんですけど、捨てた服のシーズンがまた巡ってくると、「あの服、着ようと思ったけど、もうないんだ!」ってなるんですよ(笑)。だから、人生においても、間違って捨ててしまったものは多い気がします。でも、「今、あたしが持ってるものは、代わりのないもので、これでいいんだ!」って、今は歌えるんです。そういうことを込めた“エンブレム”を、今、歌えるっていうのはすごく意味を感じていて、「何かを乗り越えられたのかな?」って思っています。

「後悔」とか「間違い」っていうことも歌わないと気が済まない。自分に対して嘘をついているような気持ちになってしまうんです


――“エンブレム”には、《いつかぼくが手放したもの その中に扉を開く鍵がある それでも》という一節がありますが、常に向き合わなければいけない迷いも反映されていると感じました。

「後悔」とか「間違い」っていうことも歌わないと気が済まないというか。そういうことも歌わないと、自分に対して嘘をついているような気持ち

になってしまうんですよね。

――きみコさんがお好きな野球で言うならば、あのイチロー選手だって、順調な野球人生に見えますけど、常に迷いや後悔と向き合いながら、様々なことを乗り越えてきたんじゃないでしょうか?

そうですね。自分の野球のスタイルを見つけるまでにも、いっぱい悩んだでしょうし。そう考えると……人生って大変ですね(笑)。

――(笑)『食戟のソーマ』も、そういう点で、きみコさん自身に重なっているということですね。

はい。この作品が好きなみなさんも、自分の職業、置かれている立場に重ね合わせたりしているんだと思います。コメディタッチで描かれているシーンもたくさんありながら、メッセージ性も強いですから。連載されていた『週刊少年ジャンプ』の主な読者層の少年の心を掴みながらも、大人にも響くメッセージがある作品なんです。

――きみコさん、おそらく少年漫画が好きですよね?

少女漫画よりも少年漫画が好きです。ジャンプとマガジンを読んで育ちました(笑)。兄の影響と、あたしが野球をやっていたというのもあるんですけど。お父さんは、『タッチ』が好きで、バイブルみたいになっていましたね。あたしも『タッチ』や『MAJOR』を読んでいました。今思うと、漫画から学んだことって、すごくたくさんあるんですよ。nano.RIPEの音楽も、『食戟のソーマ』が好きなみなさんに寄り添えたら嬉しいです。

――『食戟のソーマ』ファンに、nano.RIPEはすごく愛されているはずです。

ありがとうございます。曲を歌わせていただくのは3回目なので、「ソーマと言えばnano.RIPE」と思ってくださる人は、たくさんいるみたいです。私たちもnano.RIPEは、『食戟のソーマ』と合っていると思っていますし、ササキジュンも、「ソーマの曲だったら、俺、絶対に負けない!」って、いつも言っています(笑)。“エンブレム”は、作曲をしたササキジュンの強い想いも込められているんですよ。アレンジは、出羽良彰さんにも入っていただきました。デモの段階から入っていた弦楽器をさらに詰めて、広げた仕上がりになったので、ジュンにとっても、すごく勉強になったみたいです。

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