多彩な物語がきらめくミニアルバム『PANっと音がした』。井上苑子が恋を描く理由とは? 最新インタビュー

多彩な物語がきらめくミニアルバム『PANっと音がした』。井上苑子が恋を描く理由とは? 最新インタビュー

かわいくポップに描いていますけど、基本的にずっともどかしい感じの作品になっていると思います

――恋愛の様々な時期が6曲で描かれていますよね。

「はい。この6曲は、全部同じ女の子のことです。私は“恋におめかし”を作っていただいた、さとうもかさんがすごく好きで『一緒に曲を作れたらなあ』というのも思っていたことのひとつなんですけど、『女の子らしい1枚にしよう』というイメージもあって。そこから『恋に落ちた瞬間から、その先までを描きたいなあ』という1枚を通しての物語が始まった感じです」

――恋愛は井上さんにとってずっと大きいテーマですよね?

「そうですね。最近は少し心の余裕が出てきたのかなと思うんですけど、ちょっと前まではずっと『生きていくうえでの目的は恋愛と仕事しかないだろう』というくらいのことを思っていて(笑)。将来の自分を思い描くと『結婚していたいなあ』とか、恋愛と関連してくるので、いつでも恋愛を中心に考えるところはありますね」

――小学生の頃から活動されていますけど、当時からそうでした?

「小6で曲を作り始めた時は恋愛の曲を書くのが恥ずかしくて全然できなかったんですけど、ずっと書きたい気持ちはありましたね。中2で初めて片思いの曲を書いて、そこからはずっと恋愛の曲ばかりを作っています」

――韓流ドラマが好きなのも、「恋愛ってなんなんだろう?」というのがご自身の中にずっとあるからでは?

「そうですね。恋愛って波乱の時期がいちばん残るんだと思いますし、韓流ドラマもそうですからね。まあ、『愛の不時着』くらいまで行くと、考えられないくらいの波乱ですけど(笑)」

――(笑)恋愛は自分の駄目なところが見える体験でもありますよね?

「それ、めちゃくちゃそうですね。喧嘩した時に相手から言われて気づくこともありますし。あと、大事にしたい人がいるというのは特別なことですし、お互いのパワーバランスの中で学ぶことがたくさんあるのも恋愛なんですよね。上手くいかない恋で学んだこと、傷ついた経験も、何かしらの形で自分の力になっていくんだと思います」

――周りの人の恋愛話を聞くのも好きですか?

「大好きです。恋愛の話を聞くと、その人の普段は見せない一面を感じたりもしますからね」

――今回の作品は23年間の恋愛研究の成果を注ぎ込んだ1枚?

「全然研究成果じゃないですよ(笑)。やっぱり上手くいかないことばかりなので。曲としてかわいくポップに描いていますけど、基本的にずっともどかしい感じの作品になっていると思います」

AIがどれだけいろんなことをしてくれるようになったとしても、人類は恋愛をしなければいけないんだと私は思います!(笑)

――『PANっと音がした』というタイトルにも関連したことですけど、今作は色見本帳のパントンがモチーフになっているようですね。

「はい。私は作品について考える時に最初に思い浮かべるのがビジュアルなんです。パントンの色見本を眺めながら『これくらいのピンクがいいなあ』とか思うところから始めて、『最初はオレンジっぽく始まって、途中で青っぽくダークな感じにもなりつつ、最後には光が差して、こういう黄色にしたい』とか、そういうことをずっとやってきたんです。だから今回、いっそのことパントンをテーマにしようと思って、『PANっと音がした』というタイトルになりました」

――例えば“おとぎ話って言わないで”や“ダーリンって呼べない”も色彩の描写を通じて主人公の心理が伝わってきますし、恋が上手くいく直前の感情の乱高下がすごく描かれているのが印象的です。

「私は恋をしてその人にはまってしまったら考えるだけで胃液が上がってきてしまうくらいなので、お腹がすかないんですよ」

――“おとぎ話って言わないで”の《こないだ君に会ってから/何故かお腹がすかないよ》って、そういうこと?

「はい。そういう感じになるし、それは多分私だけではないので、曲にしてみようと思ったんです。ご飯食べたいし、心がモヤモヤするのは嫌なんですけど(笑)。あと、恋をするといつもなら普通に行動できることができなくなったりもしますよね。だから自分からすごく好きになった人とは上手くいかないものなのかなと思います。やっぱり恋をしている時の人間って普通じゃなくて、その人の本来の姿じゃなくなっているんですよ。でも、心のドキドキを意識的に抑えるってできない気がします」

――“恋におめかし”は、器用に恋ができない状態になっている自分を楽しんでいる部分も描いていますよね?

「そうですね。恋を一旦置いておいて、女の子が自分自身を楽しんでいるというか、『今は自分の時間を楽しもう』みたいな曲にしたかったんです」

――恋愛って古今東西の様々な作品のテーマであり続けていますし、やはり人間と切っても切れないものなのかも。

「ほんとその通りだと思います。恋愛はきっと野性の気持ちなんですよ。人間は事細かに言葉で気持ちを伝えることができるから、それゆえに難しさもあるわけですけど、やっぱり『恋愛をしていく』というのは人類にとってなくてはならぬものであり続けるんでしょうね。AIがどれだけいろんなことをしてくれるようになったとしても、人類は恋愛をしなければいけないんだと私は思います!(笑)」

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