シズクノメにインタビュー! メジャーデビューシングル“ハイ”について、そして「五年後武道館」を掲げるバンドの現在地について

シズクノメにインタビュー! メジャーデビューシングル“ハイ”について、そして「五年後武道館」を掲げるバンドの現在地について

今までの曲の中でいちばん繊細に、かつ、自分の経験を踏まえてより艶やかに歌ったかもしれない(しゅん)

――9月に、初の有観客でのワンマンライブが渋谷CLUB QUATTROで開催されました。どうでした?

ミチヒロ 楽しかったですね。ライブはシズクノメがいちばん重要視しているものなので、結成してから、やっとお客さんの前でワンマンライブができたなって。バンドを組んだ時は、2年もお客さんの前で演奏しない時期がくるとは想像もしていなかったので。やっと自分たちの音楽を直接届けられたのは嬉しかったです。

――そのライブで発表されたように、メジャーデビューシングルがいよいよリリースということで。最初のシングルはどういう曲にしようと思っていました?

ミチヒロ 特にそういうことは考えてなかったかな(笑)。正直俺たちにとっては、アルバム『単純的希望』の次の曲っていう位置づけでしかなくて。今回の“ハイ”も、アルバムを作る前の、初期の頃からあった曲なんです。メンバーの中で、「この曲やりたい」、「あの曲がいい」っていうのがデモの段階であるんですけど、今回の“ハイ”は、しゅんがよくそう言ってた曲だよね。「俺“ハイ”やりてえんだよ」って。

――しゅんさんはなぜこの曲をやりたいと?

しゅん モトキと俺は通ってきたルーツが結構違うんですけど、モトキの作る曲はどれもいいなと思えるものばかりで。その中でも“ハイ”は特別自分に刺さるものがあったんです。うちらの今の心境とか、自分の中にある、コロナ禍でいろいろできなくなったフラストレーションとかも、この曲だったら伝わるんじゃないかなって。単純な肌感ですけど、いいなと思ってた曲でした。だから、メジャーデビューだからというよりは、「早くこれやりたいね」っていう。

――歌とラップの展開もスリリングだし、シズクノメの強みが凝縮されたかっこいい曲になりました。これはどういうふうに完成させていったんですか?

ミチヒロ デモの段階から仮タイトルは“ハイ”でした。頭のサビの歌詞も最初にできあがっていて、そこから「つまり俺はどういうことを言いたいんだろうか」っていうことを、そのサビを見ながら、自分自身に問いかけて深掘りしていくみたいな感じで。そうやって考えていくと、「ハイ」っていうのは、漠然と「ハイテンション」って意味でもないだろって思ったし、そもそもローの時があるからこそ、自分がハイになった時にそれを強く感じられるんだよなと。たぶんそういうことを自分は言いたいんだろうなと思いながら、書いていきましたね。

――とても美しく韻を踏んでいるし、歌っていて気持ちいいんじゃないかと思いましたが、しゅんさんはどう感じました?

しゅん この曲はアカペラからスタートするから、そこはより繊細に、自分のキャパで表現できる最大限のものを出したいと思いました。さっきモトキも言ってたけど、「ハイテンションだぜ」っていうよりも、リスナー各々の中にある「ハイ」を、どうやったら自分の歌声で引き出せるかなってことを考えて、今までの曲の中でいちばん繊細に、かつ、自分の経験を踏まえて、より艶やかに歌ったかもしれないです。

――まず歌い出しでガツンと掴むタイプの曲だから、そこはテイクとして何回もトライした感じですか?

ミチヒロ でも基本的に、うちは歌録りの時間がいつも長いよね。最初の段階でめちゃめちゃいいなって時もあるんですけど、もっといけるかなって。レコーディングする前にもプリプロみたいな感じで、自分の持ってるマイクで、ふたりで俺の家で録ったりするんですよ。今回の曲はその時点でかなりよかったですけどね。

しゅん ふたりで、「めっちゃいいねえ」って言い合って(笑)。

ミチヒロ 録り終わってから20回くらいは聴いた気がする(笑)。

「思いついたけどめっちゃ難しいじゃん」ってことに対して、「思いついちゃったからやるしかねえか」みたいな(ミチヒロ)

――そうなると、本番レコーディングではさらに完成度の高いものを追求したくなっちゃいますよね。ラップのパートは当初から想定していたものですか?

ミチヒロ 当初は想定していなかったです。アレンジを進めていくうえで、思いつきのフィーリングで、「一回ちょっと入れてみよう」と思って自分でやってみたらわりとよくて。これ面白いかもなって。

――じゃあ、リリックもそのパートはあとからつけ足して?

ミチヒロ そうです。

しゅん アレンジがほぼ決まっていく中で、モトキから「ラップを入れようと思う」って話を最初に聞いたのは、ふたりで話してた時なんですけど、その時に聴かせてもらって。それまでは、2番以降にどういうメロがつくのか、あるいは楽器がガチャガチャ乗ってくるのか、自分の中でワクワクはあったんですけど、まさかラップでくるとは思わなくて。こいつやりよったなって(笑)。

ミチヒロ だよな(笑)。俺もまさかラップ入れるとは思わんかった。

しゅん でも、めっちゃいいじゃんって思って。“にらめっこ”とか、これまでラップっぽい歌はあったんですけど、がっつりラップを入れるのは初だったので。でもモトキの声にも合っていてよかったよね。

――ラップと歌と、それぞれまったく違う趣のパートがすごく自然な流れで入ってますよね。ミチヒロさんのラップとしゅんさんの歌がナチュラルに融合して。メジャーデビューシングルなのに新機軸で攻めるっていうのがシズクノメらしいなと。やっぱり、何か新しい側面を見せたいっていう気持ちがありました?

ミチヒロ いや、あんまりないですけどね。そんな本格的にラップをやったこともないし、自分で作っておきながら、俺がラップやるの?みたいな(笑)。「ここにラップ入るとめちゃめちゃいいんだよな。でも俺がやんの?」って。

――でも思いついちゃったから(笑)。

ミチヒロ うん。思いついちゃったからもう入れるしかないっていう(笑)。曲作る時もそうですけど、たとえば「ここのやり方とかアレンジとか、思いついたけどめっちゃ難しいじゃん」ってことに対して、「思いついちゃったからやるしかねえか」みたいなとこはありますね。

――今回ブラスサウンドを導入したのもそういう感覚で?

ミチヒロ はじめの段階では、ストリングスでこんな感じはどうかっていうのもあったんです。ただサビでは「ハイ」な状態を表現したいから、ここはストリングスよりもブラスにしたいって思って。

――そうなんですね。ストリングスだったら全然イメージ違ったでしょうね。

しゅん 全然違いましたね。最初はもっときれいだった。

――では、完成した“ハイ”を聴いてみて、今の率直な感想としてはどんな感じですか?

しゅん 俺もモトキも他のメンバーも、いい意味で「期待を裏切りたい」感がすごいあるんですよ。「シズクノメって底知れないよね」感は、常に持っていたいんですよね。今回の“ハイ”は、完成させていく過程で演奏や歌の技術がバンド内でもかなり上がったし、自分たちがアプローチする曲の幅も一気に広がったという感じがします。

ミチヒロ 思いついたものを再現する過程で、自分のスキルが上がっていく感覚はありますね。“ハイ”はそれがすごく強かったと思う。ラップ部分もそうだけど、とにかく思いついたらやるしかねえから、なんとかできるようにするしかないっていう(笑)。自分で書いた曲が、自分を持ち上げてくれたなって気はしてますね。

次のページ言葉を選ばず言えば、俺にとってギターは、曲を作ってそれを再現するための道具なんですよね(ミチヒロ)
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