【インタビュー】ZAZEN BOYS、待ちに待った12年ぶりのアルバム『らんど』遂にリリース! 向井秀徳がおおいに語る

【インタビュー】ZAZEN BOYS、待ちに待った12年ぶりのアルバム『らんど』遂にリリース! 向井秀徳がおおいに語る

作品としてみんなに聴いてもらうのに、ヘタこけんなというね。気負いみたいなものが常にある

「まあ、何をやってるかって言ったらねえ、“永遠少女”っていう曲のミュージックビデオを作りましてね。今日、公開するんですけれども(12月19日。この取材の数時間後にMVが公開された)。それの字幕設定というのがありまして、歌詞の英語対訳をつけられるわけだ。AIが自動翻訳するってのもあるんですよ。それで、LEO今井が歌詞を英訳してくれて、もらったテキストを自分で入力するわけですね。いよいよ俺は字幕まで自分でやるようになったか、って。面倒くさくってね。AIに頼もうかなって一瞬思ったんだけれども、まあ根性でやりましたよ。だから結局こうして、12年ぶりのニューアルバムだって言ってるけれども、新しい音源に対して取材を受けるのもすごい久しぶりだから、なんか慣れないですね。インタビューは今回、ロッキング・オンさんが一発目なんだよ。だからその、それなりにやってくださいね」


──(笑)。しっかり伺っていきたいです。今のお話に出た“永遠少女”にしても、まあとんでもない曲で。すでにライブでもやっていますよね。アコエレ(向井秀徳アコースティック&エレクトリック)でもやっていましたけど、そもそもZAZEN BOYSとしてやっていくつもりで制作した楽曲なんですか。

「うん。ZAZEN BOYSの新曲を作る制作期間の中で生まれてきた曲です。“杉並の少年”と“黄泉の国”は、2019年にレコーディングしていたんだ。で、今回もそのときの録音なんですけどね。録ったことを忘れていたんだな。もうリリースした気分になっていた」

──リリースしていたら、もっと話題になってますよ。

「だから、12年の間に何もしていなかったというわけではないんだな。ずーっとこう、活動はしていて。作品を出すのは久しぶりだけれども、曲は書いていたし、或いはそのプロトタイプみたいなものは膨大にあるわけだ。それを組み立てていって、今回の収録曲として形になったものもあれば、今年(2023年)になってパッパッパッとできた新曲も、もちろんありますし。締切はあってないようなもんですけど、自分の中の締切というのもありまして、その間際にできた曲もありますよ。この最後の“胸焼けうどんの作り方”とかね」

──これまでの12年弱のどこかで、何がなんでも新作を出すという決断はあり得なかったんですか。

「どう言ったらいいかねえ。形にしたいという気持ちは常にあったんです。一言で言えば、作品としてみんなに聴いてもらうのに、ヘタこけんなというね。気負いみたいなものが常にあるんだけれども。しっかりとこう、額縁に入れたいわけですよ。で、飾りたいわけだ。やるからには自分のすべてを注ぎ込んで、形にしたい。そう思っているんですよ、ずっとね。でもそれをするためには、相っ当なエネルギーが必要なんですよ」

──それは、向井さん個人の中で、ですか。それともZAZEN BOYSとしてですか。

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「私です。形にするための、なんかこう、身を削る感じ。これがキツいというのは、今までもずっとやってきたから、よーくわかってるわけですよ。ある種のタイミングとして、メンバーチェンジがあってベースのMIYAが入ってきて、もう5年前になるけれども。そのタイミングで、私の中ではかなり風がビュービュー吹いたんですよ。よし、この風に乗っかってやろうと思って。すごく盛り上がったわけです。で、そのまま調子こいて、今度はナンバーガールを再結成したろうって思って。旧メンバーに電話したわけだ。やるか、稼ぐぞ、って」

──稼ぐぞ(笑)。

「(笑)。そのテンションで行ったら、全部が上手い具合にいくだろうっていう、ある種の躁状態みたいなことですよね。さっき言ったように“杉並の少年”とかの新曲もできてきたんだけれども、やっぱりその、ナンバーガールの活動も、ZAZEN BOYSの活動も、どっちも必死こいてやってるもんで、なかなかバランスを取るのもかなりのエネルギーを必要としたんです。そういう状況の中でコロナ禍があって、一切の風がピタリと止んだわけだ。ナンバーガール再結成に関しては、中止・延期された公演が山ほどあって。それをどうにかこうにか決着をつけていかなきゃいけないってことで、2022年末にキリよく活動を終えまして。そこでZAZEN BOYSに集中して、一丁新作を2023年内に出すぞと決意を固めたわけです。そしたら結局、1ヶ月零れたわ」

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額縁に入れてルーブル美術館、もしくはニューヨーク近代美術館、もしくは世田谷区民ホールに飾ってもらうくらいの形にしたかった

──まあ、1月にはなりましたけど(笑)。12年近く空いてのリリースですし、MIYAさんも入っていますから、リスナーとしてはまったく新しい手応えのアルバムになっていた可能性もあるじゃないですか。でも今回、頭から聴かせてもらった『らんど』は、一発目の音で「あ、ZAZEN BOYSだ」って腑に落ちる印象だったんです。特にアルバム前半は端正で、キャッチーな入り口がたくさんあるアルバムだと思ったんですよね。それが向井さんの言う、額縁に入れる作品ってことなのかな、と。

「目標として、額縁に入れてルーブル美術館に、もしくはニューヨーク近代美術館に、もしくは世田谷区民ホールのロビーに飾ってもらうくらいの形にはしたかったんですけど、とは言っても結局これにしかならないんだな、っていうふうに思いますよね。レコーディングのあと、額縁に持っていくためのサウンドプロダクションというのがあって。周波数および質感の世界に没頭するっていう。これは、他の人にやってもらったほうがいいんですよ。そのほうがキャッチーになる。私がやったら、自分の「毒個性」が滲み上がってしまうんですよね。中低域だけがガーッと押し出された感触になってしまう。とは言ってもね、他の人に頼んでやってもらったものに対して、違和感を抱いたりすることはあるんだろうな、と思います。デイヴ・フリッドマンに頼みたかったね。あと、ミックスダウン作業も今はデジタルだから、前日の設定も残せるわけだ。3日前のやつにしたほうがいいな、みたいな。これは迷路です。「地獄耳」っていうんです、こういうの(笑)。私がいちいち「地獄耳」でいじくったものが、今回の作品なんだけど」

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次のページ“永遠少女”は、ロシアのウクライナ侵攻が始まるよりも前にできていた曲なんですよ
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