【インタビュー】結成20周年の八十八ヶ所巡礼、ついに日本武道館に立つ! 唯一無二のプログレッシブロックの足跡をマーガレット廣井とひもとく

【インタビュー】結成20周年の八十八ヶ所巡礼、ついに日本武道館に立つ! 唯一無二のプログレッシブロックの足跡をマーガレット廣井とひもとく

【インタビュー】結成20周年の八十八ヶ所巡礼、ついに日本武道館に立つ! 唯一無二のプログレッシブロックの足跡をマーガレット廣井とひもとく

20年前の僕は、メジャーレーベルに所属して、芸能事務所に所属しても、今みたいなことがやれると思ってましたからね

──八十八ヶ所巡礼はプログレッシブロック、サイケデリックロックという文脈で語られることが多いと思うんですけども。そもそもプログレスター、サイケスターを目指す的な願望はありました?ああ……キング・クリムゾンを聴いて「キング・クリムゾンみたいなバンドがやりたいな」とか思ってたんですけど、どだい無理じゃないですか。3人期のクリムゾンしかできないわけで(笑)。クリムゾンはクリムゾンで、時代ごとに型を変えながらやってると思うんですけど、僕らは型を変えられないというか。3人の縛りの中でずっとやってるので。でも、「3人でやりたい」とは思ってるんです。ゲストミュージシャンを入れてとか、ストリングスを入れてとか、コーラスを増やしてとかっていうのは、まだまだ先の話だと思うんです。3人でやれる限界を模索していったら、こうなってしまったというか。──最近の来日ではクリムゾンって7人編成で、ドラム3人体制で演奏してますよね。あれはあれでいいんですけど、パートをひとりで担当する、替えが利かないスリルって、ビートの緊張感に影響してるよなあ、っていうのを、八十八ヶ所巡礼の音楽を聴いて思いました。そうですね。だから、Kenzooooooooo(Dr)さんとか大変だと思うんですよ。3人でせめぎ合ってるから──それが楽しかったりするんですよね。ライブが終わったあと「あそこ大変そうだったね」って、お互いに労い合うんですけど。「キツそうだったね」って(笑)。「なんであそこ間違えたんだよ!」みたいなの、まったくないですから。だってみんな、数え切れないぐらい全員ミスをしてるから(笑)。僕らにしかわからないミスを。まあ、それはそれで楽しいですね、3人でせめぎ合うのは。──その「限界に挑戦」感が、八十八ヶ所巡礼から目が離せない理由かもしれないですね。単純に「速弾きに挑戦」とか「音量の限界に挑む」とかではなく、ちゃんとアートとして成立しているのが嬉しいところですよね。ありがとうございます。──「あのライブよかったなあ」とか、武道館に対する個人的思い入れはありますか?武道館って3回しか行ったことないんですよ。パスピエ(2015年)と、a flood of circle(今年5月)、あと最近のドリーム・シアター(同2月)ですね。武道館の隣の、科学技術館の屋上で、『太陽を盗んだ男』のバトルシーンが撮られた、ぐらいしか知らなくて(笑)。そもそも武道館でやるとは思ってなかったわけですからね。僕ら、上昇志向がないんですよね、バンド自体が。ともかく長く、ちょいちょい右肩上がりで行けたらいいな、っていうだけで。──なるほど。ただ、バズを稼ぎたいという意味での上昇志向はないかもしれないですけど、今日よりも明日、少しでもいい音、いい楽曲を作りたいっていう表現者としての前進志向は確実にあると思うんですよ。で、今は大手のレーベルに属していなくても自分で発信できるし、自分たちのスタンスも貫けるから、バズを狙わなくても消えずサバイブできる時代ですから。まあ、そこまで浮上してないので、僕らが消されることもないでしょうし──。──いやいやいや。でも確かに、やっぱり未だに言いたいことは言えてるので、音の中で。日本国民として、怒りはずっとあるんで。そこは変わってないですね。ずーっと作ってる音楽の中でちりばめていけるっていう。それを言わなくなったらたぶん……呑み込まれた時なんでしょうけど(笑)。──「もっと多くの人に聴いてもらおう」とか「みんなが歌ってくれる歌を」とかを目指して、表現のトゲを抜いたり角を丸めたりっていう必要もないですし、それを理解してくれる環境を作れてますからね。「このトゲ、いいね!」みたいな。(笑)そうですね。まあ、武道館が終わったあとも変わらないんだろうな、とは思いますね。変わると、今までやってきたことが水の泡になっちゃうんで(笑)。でもなんか、20年前の、結成当時の僕が思ってた理想にかなり近いのかな、とは思ってますね。ちょっとは逸れてますけど──20年前の僕は、メジャーレーベルに所属して、芸能事務所に所属しても、今みたいなことがやれると思ってましたからね、何も知らないんで(笑)。でも、そうじゃないことをだんだん知っていって……『ああ、今の環境があってよかったな』って。自分たちで作ろうとしてよかったなって思いますね。しかも、武道館でやるっていうことで親孝行までできて、よかったですね。

クラスにひとりぐらいは、変な音楽が好きな人は絶対いるじゃないですか。そこを肯定したいですよね。それを大人になっても忘れてほしくない

──「やりたいことをやり続けてる」っていうのがいちばんの強味だと思うんですよね。野球だって、好きな人は毎日100回素振りするのも苦じゃないわけで。創作と鍛錬を苦と思わず続けてきたっていうことだと思うんですよ。そうじゃないと、どう考えても3人でこのアンサンブルは作れないし、合わせようのないフレーズとか拍を合わせられるわけがないし。うーん……僕らもわかってないところは結構ありますけどね(笑)。譜面では書き表せないところがあって。その辺の呼吸のところは、やっぱりメンバーがいないとできないなあと思います。こんなことをやる必要、今の音楽ではあんまりなかったりするじゃないですか。でも……逆に、みんながそれをやり始めたら、僕らはやらなくなると思います。みんなへのアンチテーゼなだけなので(笑)。──センター街で変拍子が流れてきたら、頑なに8拍子を守ると。そうなったら、僕らはもうEDMをやり始めます。──(笑)今回、武道館公演という重要なワンマンライブはありますけど、この音楽の面白さがハマる人はまだまだいると思いますね。多数派ではないかもしれないですけど、クラスにひとりはいると思うし。今のSNS時代は、全国の「クラスにひとり」にも訴求できる環境でもありますからね。そうですね。クラスにひとりぐらいは、変な音楽が好きな人は絶対いるじゃないですか。そこを肯定したいですよね。それを大人になっても忘れてほしくない。忘れなかったらこうなるっていう(笑)。時間はかかるけど、悪いことばっかりではなかったですね。むしろ、最高のバンド人生だったのかもしれないです。まあ、長くやるのが僕らの夢なので。60代でも、今までを超えるような激しい曲を作ることもできるわけじゃないですか。ギターのかっちゃん(Katzuya Shimizu)はずっと激しくても問題なさそうですけど、ドラムが大変そうですね。──作る時は1曲1曲全力投球ですからね。その、全力投球で作った曲が3〜4曲並ぶと、本当にしんどいですね(笑)。──最初の動機はアンチ精神だったかもしれないし、結果として誰もが振り返るロックスターに到達するかはわからないけど、この音楽にしかない価値には気づいてくれてると思うんですよね。だからこその武道館公演という。……急に実感が湧いてきました。──(笑)すごいライブ空間になりそうな期待感だけはすごく持ってます。まあ、僕らがライブでできることは変わらないはずなので。空間が違うので、どうなるかは想像はできてませんけど、楽しみではあるんですよね。気合い入れすぎると空回りするので。20年分、楽しみながらできるといいなあとは思いますね。
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