photo by うえむらすばる自分は最初のリスナーだと思ってるんですけど、“パラレルナイト”は絶対いけるなと(MITSU)
──KAZUKIさんがメロディを書いて、KEIさんがトラックやアレンジを作っていくと。KAZUKI 最近はそのパターンが多いかもしれないです。この1年でKEIにかなりトラックを任せられるようになって、そのおかげで僕はメロディに集中できていて。“パラレルナイト”の制作もメロディ作りに時間を使えたからこそ、デモを5~6曲作れたし、その中から選べたので。
KEI 似たようなサウンドにはしたくないし、KAZUKIにそう思われるのも嫌なので、自分なりに試行錯誤しながらやってます。基本的にはKAZUKIのデモを再現しつつ、3割くらいは自分で作ったフレーズも入れて。
KAZUKI 僕のハードルがめっちゃ高いんですよ。この1年、KEIに対してダメ出しばかりしてしまったけど、その結果すごく成長してくれて。申し訳ないなと思いつつ、頑張ってくれて感謝しかないです。
──KEIさん、ダメ出しされても「やってられるか!」ってキレたりしなさそうですよね。KEI それはないです(笑)。悩みはしますけどね、ムズイなって。何が正解かわからなくなることもあるけど、まあ、楽しくやってます。
MITSU KAZUKIとKEIがデモを上げてくれた段階で、「めちゃくちゃいい曲だな」と思って。自分は最初のリスナーだと思ってるんですけど、“パラレルナイト”は絶対いけるなと。レコーディングはめちゃくちゃ苦戦しましたけどね。ベースは別の方(勝矢匠)にアレンジしていただいたので、そのフレーズを汲み取りながら演奏して。大変でしたけど、すごく勉強になりました。歌詞もすごくよくて、ステージでどういう感情で弾くかもイメージできてますね。思い描いているのは、青い炎なんですよ。悲しみもあるんだけど、内に秘めた熱い思いもあるっていう。……こう言うとちょっと恥ずかしいですけど。
KAZUKI (笑)普段そういうことを言うキャラじゃないですからね、MITSUは。
RIKIYA そうだね(笑)。僕もレコーディングのとき、歌詞にしっかり寄り添ったほうがいいなと思ってました。たとえば《押し付けられる“正しさ”に/静かな想いは埋もれてばかりだ》もそうですけど、これまでの人生の中で、同じようなことを感じたことが何回もあって。そのときのことを思い返しながらドラムを叩いたら、アレンジャーのSomaさんにも「今のはエモいね」って言ってもらえて。
──KAZUKIさんが書いた歌詞を自分の経験や感情に引き寄せて演奏した、と。RIKIYA はい。KAZUKIが歌詞に込めた意図も、付き合いが長くなるにつれて、自分なりに理解できているつもりではあって。“パラレルナイト”はKAZUKIに聞かないで、僕なりの解釈、イメージで挑んだんです。自分としてはここ数年の修行の成果が出せたと思うし、これまででいちばんいいレコーディングだったと自信を持って言える1曲になりました。KAZUKIにも高評価をいただけたんじゃないかなと。
KAZUKI ちょっとスピリチュアルな話になりますけど、楽曲には演奏する人の気持ちが絶対に乗るはずだと思ってるんですよ。特に“パラレルナイト”にはみんなの感情を込めてほしかったから、楽器のレコーディングまでに歌詞をフィックスさせたんです。RIKIYAもMITSUもKEIもしっかり共感したうえで演奏してくれたし、それはリスナーの皆さんにも必ず伝わると思います。
──KAZUKIさん自身はこの曲の歌詞にどんな感情を乗せてるんですか?KAZUKI ドラマの台本を読ませてもらってから書いたんですけど、タイトル通り、夜の歌にしたかったんです。夜っていろんなことを考えがちだし、僕自身もライブの前日とかは不安で眠れなくなることがあって。ドラマ自体は「太陽が昇ってきた。今日もまた頑張ろう」というイメージがあるんですけど、楽曲に関しては大きな希望ではなくて、「沈んでても泣いててもいいから、明日を乗り越えてほしい」という気持ちで書きたかったんですよね。自分としてはうまく表現できたという自負があったんですけど、ボーカルのレコーディングはめちゃくちゃ大変でした。バラード自体が“レンズ”(2024年10月リリース)以来だったし、感情の込め方が難しくて。普段は息の成分が多い歌い方が得意なんですけど、それだとオンエアされたときに埋もれちゃうかなとか、いろんなことを考えて、試行錯誤して。ここ最近ではいちばん苦労しましたけど、最後はいい形になってホッとしました。
photo by うえむらすばるこういうミクスチャー系のサウンドも僕らの本来のルーツなんですよ(KAZUKI)
──そして8月には“パラレルナイト”を含むEPがリリースされます。2曲目の“BANDAGE”はラウドロックやヒップホップなど多彩な要素が込められたアッパーチューンですね。KAZUKI こういうミクスチャー系のサウンドも僕らのルーツなんです。デモを作ってる段階から「ここに2ステップを入れたい」「ここはトラップのパートにしたい」みたいなアイデアがどんどん出てきて。アレンジャーの方(Hajime Taguchi)も僕の想像の上をいくイメージをお持ちだったので、それがいい意味で絡み合いすぎましたね(笑)。5分以上の尺になっちゃったんですけど、曲としてかっこいいからOKでしょって。“BANDAGE”はワンマンツアーの1曲目にやってるんですよ。BILLY BOOには「おしゃれに踊れて楽しい」みたいなイメージもあると思うんですけど、この曲はいきなり叫びまくってるし、「お客さん、びっくりして引かないかな?」って不安だったんですけど、MITSUくんが「1曲目にやりたい」と強く主張して。
MITSU 俺のせいみたいな言い方(笑)。
KAZUKI (笑)でも、やってみたらみんな手を上げてくれて、めちゃくちゃ盛り上がりました。
MITSU ワンマンツアーだし、進化しているところを見せたかったんですよね。
KAZUKI うん。もともとやりたかったライブのイメージはこういう曲だし、1曲目を“BANDAGE”にしてよかった。感謝してます。
MITSU どういたしまして(笑)。
──3曲目の“Error:25”はハウスやディスコのテイストを反映したダンスチューンです。KAZUKI 福岡でラジオに出させてもらってたんですけど、待ち時間にKEIからトラックが送られてきて。3つくらいあったんですけど、そのうちのひとつがすごくよくて、5秒くらいでメロディが浮かんだんです。すぐにボイスメモに録って、KEIに送り返して。
KEI 4つ打ち系の曲をいくつか作って、まとめてKAZUKIに投げたんです。こういう感じの曲はライブを想像しやすいし、リズムやフレーズ、音色などもいろんなトライがしやすいんですよね。
KAZUKI BILLY BOOの制作は2WAYなんですよ。“Error:25”や“トラボジマ”はループやリフレインから始まることが多くて、“ラプソディ”や“パラレルナイト”はメロディがもとになっているんです。両方できることは自分たちの強みだし、それは今回のEPでもしっかり出せたと思います。
──制作スタイルが定まって、楽曲のクオリティも確実に上がってきて。バンドとしての機能が高まっている手応えもあるのでは?KAZUKI そうですね。以前は僕がいろいろ注文してたんですけど、最近は言いすぎないようにしていて。楽器のことはメンバーがわかってるだろうし、歌のことは自分がいちばんよくわかってると思ってるんですよ。周りの人に言われて気づくこともあるでしょうけど、今は自分たちで能動的に動けているし、チーム全体もすごくいい状態だと思っていて。メンバー3人が作ってくれたトラックに自分の最高の歌が乗れば、完璧じゃないですか。今はその流れを切らないようにしたいんですよね。
photo by うえむらすばる